「6次産業」とは?どうすれば成功するのか?

「6次産業化」とは?

「6次産業化」とは農業・漁業のような一次産業の生産者が儲かるように、農作物(漁獲物)の生産(1次産業)だけでなく、加工(2次産業)流通・販売(3次産業)まで手掛ける取り組みのことです。
国や地方自治体も「補助金の交付」や「6次産業化プランナーの派遣」等を行って活性化を6次産業化をなんとか進めようとしています。

「六次産業化」「一次産業(農林漁業)×「二次産業(加工・製造業)×「三次産業(販売・流通業)

しかし、6次産業化には課題が多いです。特に1次産業の生産者が加工品の販売に携わる場合にいろいろな勘違いをして失敗する事例が多いのも事実です。私自身、現在は1次産業の生産者として働いていますが、前職は4年以上大手食品問屋(3次産業)でサラリーマンをしていました。そのため、今回は一次産業の生産者が持っていない販売・流通のリアルな視点も含めて「6次産業化」を成功させるための秘訣についてわかりやすく解説していきます。

「6次産業化」で失敗する3つの原因とは?

1次産業の生産者が6次産業化にチャレンジする際に、6次産業についての正しい理解がなく誤解をしていると大きな失敗につながります。誤解を生む主な原因は下記の3つです。

①新商品の開発ばかりに目が行ってしまう。

6次産業化プロジェクトというとまず最初に思い浮かぶのが「新商品開発」です。しかし、1次産業の生産者が作りたい加工食品を作っても付加価値を生まない、または消費者が求めていない商品をいくら作っても無駄になります。加工食品をただつくるだけが、6次産業化ではないのです。補助金がもらえるからとりあえず作るといった考えは失敗のもとです。

②「規格外の製品を使うため」という生産者のエゴのみで製品開発を行う。

「規格外品の活用のために6時産業化」をすると考えて製品開発を始めようと考えたいのはわかりますが、規格外品ありきで考えると製品開発をするのは失敗のもとです。あくまで、6次産業化するのは自社の製品に付加価値をつけて儲かる取り組みを作ることです。規格外のモノだけで商品を作ろうとする生産者のエゴでしかなくなり、消費者(お客さん)のことを考えた製品開発でなくなる場合が多くなります。これは大きな誤解です。結果的に、付加価値を高めて、マーケティングのことまで考えた上での規格外品を活用した新商品開発に取り組むのならば問題ありません。

③加工食品を作れば勝手に売れるという誤解。

きちんとお客さんのことを考えて、商品ができたとしても加工品を販売するのはかなりハードルが高いです。1次産業の生産者は加工品を作れば勝手に売れるという考え方は大きな誤解です。
加工食品は生鮮品と違い、大手加工食品メーカーとのガチンコ勝負になります。例えば、こだわりのジャムを作ってスーパーで販売したいと考えた際に、定番の陳列棚で商品を販売しようしてもスペースは限られています。この棚の1フェイス(商品棚の1列)をゲットするには各加工食品の営業マンがスーパーのバイヤーから信頼を得るための熾烈な駆け引きが繰り広げられています。ぽっと出てきたジャムがこの棚に入るのはまず不可能です。さらに、こだわり商品は価格やロットが大きくなりがちで商品の回転も悪いため問屋も不動在庫(売れない在庫)が増えるため取り扱いを嫌がります。

「6次産業化」を成功させる秘訣はなにか?

6次産業化の失敗原因でネガティブな面ばかりの紹介になってしまいました。これからは成功させる方法についての2つのポイントを紹介していきます。

①独自性と差別化の徹底

6次産業化をするためには、1次産業の生産物をより独自性を出し差別化するのが重要です。「普通」、「無難」、「平均的」はNGワードです。きちんと生産物の特徴や良さ、独自性を最大限に活かした開発が必要です。

②独自の販売チャネルの確保

これは6次産業に限ったことではないのですが、販売チャネルの確保(3次産業)は1次産業の生産者としても一番大事なことです。本来、生産者は2次産業(加工)がなかったとしても販売については重要視しなければならないのです。
しかし、今までの農家や漁師は販売については農協や漁協にすべて任せてしまっていたため、販売については関与しない構図ができてしまっています。いくら加工食品を作ってもこの体質と考え方から一歩踏み出さなければ6次産業化は成功しません。6次産業化を成功させる秘訣は「独自の販売チャネル」を持つことなのです。さらに、この販売チャネルは1つではなく複数持つことによってリスクの分散にも繋がります。一次産業者の販売チャネル確保方法は下記に記載します。

~販売チャネルの確保方法~
・ネットショップの開設
ブログ・YouTubeで情報発信をしてファンをつけます。そして、信頼を得てネット上で注文をもらう。これは非常に多くの「時間」と「労力」や「ネットの知識」も必要となりますが、儲かる農業の実践にネットは最適です。
また、今はメルカリ等のフリマアプリでも販売チャネルを確保できます。メルカリの農業での活用法についての記事はこちら(メルカリについて

 

・道の駅や地域の店舗での直販
地元の食材は地元で販売することで、価値を理解してもらいやすい特徴があります。(お客さんも販売者も協力的になってくれます。)特に道の駅用の産直所は中間マージンが低いこともあり、利益が出やすいのも特徴です。(直販は出荷量は限られてしまうため、量を処理するのが難しいといった難点はあります。)

 

・農協・漁協の活用
安くてもいいから量を出荷したい場合は活用するのもあり。最終的に生産した商品をすべてさばける販路を持つことは重要です。

まとめ

6次産業化を進めたことによる成功事例もありますが、考え方を誤ってだだ補助金を使って加工品つくるような6次産業化で失敗した事例も多いのが現実ではないでしょうか?

6次産業化を成功させるためには、まず自社の製品の特長を理解し、最大限生かせる製品をマーケティングの視点も入れてきちんと考えて取り組むことが重要です。そして、オリジナルの複数の販路を地道に開拓し、付加価値を付けた商品を販売していくことが成功のカギとなります!

参考書籍:農業のマーケティングの教科書

~おすすめ書籍~
・1次産業の生産者が陥りやす生産者目線をいかに消費者目線に近づけて販売力をつけていくか詳しく解説。6次産業だけでなく、生産物の販売についての基礎を学べる1冊です。

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