どじょうの飼育実験!米ぬか給餌で育つのか?(育成レポート)

ドジョウの飼育テスト

ドジョウの基本的な「生態」や「養殖方法」については以前の記事でまとめました。
記事はこちら(どじょうの生態、養殖方法

ドジョウを調べていくうちに、この生き物のポテンシャルの高さを益々感じるようになりました。
そして、どうしても調べてみたいテーマも出てきました。

そこへ、ちょうどコイの養殖池で天然のドジョウを入手することができたため、実際に水槽での育成実験を開始しました。
実験のテーマは「”米ぬか”を与えるだけで、ドジョウは成長するか?」です!!

その際の実験結果を紹介していきます。

なぜ、「米ぬか」での育成なのか?

通常の養殖業は畜産業ほど発展しません。
その理由は動物たんぱく(魚粉)からしか、動物たんぱくを作ることができないところにあります。
畜産物は植物性タンパク質を動物性のタンパク質に変えることができるのです。
詳しくはこちら(養殖業が畜産業ほど発展しない理由

しかし、米ぬか(植物性の餌)からどじょう(動物性たんぱく)が生産できれば、
持続可能な養殖業への大きな一歩になります。

この「植物」→「魚」を生産することには、とても大きな意味があるのです。
そのため今回の実験では何としても米ぬかのみで育成したかったのです。

(↑写真:給餌した米ぬか)

育成実験

今回は「米ぬか」のみでドジョウを育てますが、米ぬかをドジョウに直接餌として与えるわけではありません。
(少しは食べてるかもしれませんが、、、)

まず、ドジョウを育てる前に不耕起栽培の田んぼからイトミミズやミジンコが生息する土を300g程度持ってきました。
その土の中の生物を20日間米ぬかで育成し、その後ドジョウの育成を開始しました。

水槽の設定条件

水槽:60cm水槽(水量約50L)
ろ材:3L
エアーストーン:1個
水温:25℃~30℃(夏場の育成であったためヒーターはなし)
土:300g不耕起栽培の田んぼの土(イトミミズ等の生物豊富)

「育成方法」と「育成期間」

育成開始(0日目 2018年6月24日スタート)

不耕起栽培の田んぼからイトミミズやミジンコの生息する土を300gを採取。
60cm水槽に泥を投入して、地下水を給水ました。
その後、毎日5gの「米ぬか」を投入してイトミミズやミジンコを飼育。

(↑動画:捕獲してきたイトミミズ)

育成期間(19日目)
毎日、米ぬかを与えることで徐々にミジンコとイトミミズ、タニシが増加。
イトミミズは水槽底部で生息域を広げ、ミジンコも目立つようになってきました。
その他の水槽内の小さな生物達も順調に増えてきました。

育成期間(20日目)
コイの養殖場からドジョウを捕獲。
5尾を体重測定して、微生物を育てた水槽に投入。

ドジョウの育成スタート!!

投入時のドジョウの体重は25.4g/5尾=平均体重5.08g/尾。
投入したドジョウは水槽内のミジンコをしっかり捕食していました。
「米ぬか」の投入はドジョウを投入してからは5gから10gに変更しました。

(↑動画:捕まえてきたドジョウとミジンコの捕食シーン)

育成期間(30日目 実験終了)
今回の育成実験は10日間で終了しました。
(本当はもう少しやりたかったのですが。。)
実験終了時の水槽内のヘドロは牛糞のような強烈なにおいでした。

育成結果

ドジョウの生存率は100%(5尾中5尾生存)
体重は34.1g/5尾=平均体重6.82g
放流時の体重5.08g→6.82gに成長しており1.74gも成長していました。

「考察」と「まとめ」

今回の実験で田んぼの中の水生生物を利用すれば「米ぬかのみでドジョウを成長させることができる」ことがわかりました。
成長率も1週間に1.2gと良い成長をしています。

植物性の餌(米ヌカ)のみで育成してこの成長を記録できたのは正直驚きました。
米ぬか→イトミミズ・ミジンコ→ドジョウの循環サイクルを人口的に作り出すことは可能だということです。

一方、野外での養殖のみでなく「屋内での無泥養殖」という方法もあります。
詳細記事はこちら↓
ドジョウの屋内での「無泥養殖」は可能なのか?

ドジョウを効率よく養殖し、「次世代のたんぱく源」にしていくためにはさらなる研究が必要です!

1 COMMENT

鈴木

実験終了後のヘドロが牛糞の様なとの事ですが、これは、米ぬかの投入量を調整すればある程度は抑制が可能なのでしょうか?
水田で養殖をしながら米作りが出来れば、一石二鳥ですね。捕獲が大変そうですが・・。
米農家であれば、米ぬかの準備は可能だと思います。
以前米ぬかも肥料として使用している事を聞いたような・・。
ただ、ドジョウが農薬にどれだけ耐性が有るかですね。また、農薬成分の蓄積がどれくらいあるかですね。
知っている農家さんでは、ビニールハウスでポットマットを敷いて稲を発芽させているのですが、田植え後のハウスの利用は無いようです。
もし、田植え後のビニールハウスの有効利用として可能ならば、農薬の心配もなく、ハウス内なので鳥による被害も軽減されるでしょう。水田と違い水路も無いので、逃げられる心配も低い。
すると、設備投資をしても十分に回収できるかによりますね。
ハウス内を少し掘り下げて、水が貼れればいいだけの様な気がしますが・・。
ポットを栽培する関係上、水関連の設備もハウスにはあります。
ドジョウの需要が高まれば、特に北海道の農家さんは二毛作が出来ない為、良い収入源になると思います。

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