☆水質管理☆「酸素の供給方法」について

循環式養殖(アクアリウム含む)の「水質管理」シリーズ②
循環式養殖についての記事はこちら(循環式養殖の水質管理

「酸素供給方法」について

養殖やアクアリウムで水生生物を飼育する場合、水中の「溶存酸素量」を常に維持しなければなりません。「溶存酸素」についての詳細はこちら↓
☆水質管理☆「溶存酸素」について 今回は溶存酸素を維持するための「酸素供給方法」について解説していきます。

酸素供給方法の種類

酸素供給方法には「空気による酸素供給」と「純酸素による酸素供給」の2種類の方法があります。(※養殖での純酸素は酸素の割合が90%以上であれば問題ありません。)

「空気による酸素供給」と、「純酸素による酸素供給」では圧倒的に「純酸素による供給」の方が水中の溶存酸素を上げるにに効果的です。「空気中」には酸素が約20%しかなく、残りの大部分は窒素のため酸素の溶解効率が悪いのです。

一方、溶解効率の良い純酸素ですが、純酸素での酸素供給は「酸素」を作る工程で多くの費用(コスト)が掛かる問題があります。そのため、養殖では飼育する水槽の密度に合わせて酸素供給方法の使い分けが必要です。

「空気」による酸素供給方法とは?

大気中の空気をそのまま利用して水中の溶存酸素を高める方法です。
空気を水中に溶け込ませるためには、水面に揺らぎを作り、大気との酸素交換を促進させる必要があります。

ブロアーでの供給

一般的にはブロアー(またはエアーポンプ)で空気の圧力を高め、エアーストーンで水中に空気を送り込む方式が使われています。これにより、水中に泡として空気を溶け込ませるとともに上向きの水の流れを作って水面を揺らすことで酸素を水中に溶け込ませています。
(エアレーションでの酸素供給は泡自体が空気を溶け込ませてると考えがちですが、効果を発揮してるのは「上向きの水流」と「水面の揺らぎによる酸素交換」です。)

(↑写真:「エアーストーン」と「エアー供給」)

水車での供給

屋外の養殖場では「水車」によって水面をバシャバシャかき混ぜることにより、水面に揺らぎを作って酸素供給をしています。


(↑写真:「養殖場の水車」引用:松坂製作所様HPより)

ベンチュリー方式での供給

その他にも吸水口の出口を狭くし、圧力差を生じさせることで大気中の空気を巻き込んで供給するベンチュリー方式の酸素供給方法もあります。

(↑写真:「自作したベンチュリー」と「酸素供給時のベンチュリー」)

「純酸素」による酸素供給とは?

純酸素での酸素供給はコストはかかりますが、大気供給に比べて非常に強力な酸素供給方法です。

まず、純酸素を作るためには、「酸素発生機発生器を使用して作る方法」と「液体酸素」を使って作る方法があります。
酸素発生器」で酸素を生成する際には高い圧力の空気が必要となるため、コンプレッサー(空気を圧縮する機械)を使います。コンプレッサーは消費電力が大きく、純酸素を作るのには多くのコストがかかります。
液体酸素」を使う場合は養殖場の近くに液体酸素の貯蔵タンクを作り、その中に液体酸素を気化させて供給します。これもまた多くのコストがかかります。

このようにコストをかけて生成した「純酸素」は無駄なく使います。
空気供給のようにエアーストーンでブクブクさせたのでは水中に溶け込まなかった純酸素が空気中に出て行ってしまいいくら酸素を作っても足りません。

そこで、使用するが「酸素溶解装置」です。これは圧力をかけて効率的に酸素を溶け込ませることができる装置です。
(←写真:酸素混合器)
この中で圧力をかけて純酸素を完全に水中に溶け込ませます。そうすることで、気泡はなくなり飽和酸素水で酸素供給をすることができます。そのため、純酸素を無駄なく使用することができるのです。(圧力をかけて純酸素を溶け込ました水の溶存酸素は20ppm~30ppm近くまで上昇します。)

「酸素混合器」、および「圧力をかけての空気混合」は要注意!!!

「純酸素(酸素割合90%以上)」に圧力をかけてできるだけ「酸素」を水に溶け込ませる(過飽和状態)のは問題ないのですが、「空気」に圧力をかけて水に溶け込ませると大変なことになります。
空気の組成は78%が窒素のため、圧力をかけて「空気」を溶け込ませた水は「酸素」ではなく、「窒素」が過飽和状態になります。窒素が過飽和になった水は水生生物に「ガス病」を引き起こします。

 

「ガス病」とは??
ガス病とは過飽和状態であった窒素が水生生物の体内でガス化し、血管内に気泡が発生して血流が妨げられて死に至る病気です。症状としては眼球の周囲やエラに気泡が発生しているのが観察できます。
この病気は圧力をかけて空気を混ぜた時に発生するため、酸素混合器でなくても送水ポンプや配管の吸引側で空気を噛んでるとポンプ内で高圧で攪拌されて同じ症状が発生する場合があります。
また、湧き水や井戸水でも窒素が過飽和状態の場合があるため、使用する際はきちんと曝気して余分な窒素を飛ばした後で飼育水とする必要があります。

引用:水産海洋ハンドブック

まとめ

「養殖」や「アクアリウム」で水生生物を飼育する上で溶存酸素の管理はとても重要です。
そして、溶存酸素を維持するためには今回の記事であげた様々な方法の酸素供給方法があります。

新規で養殖ビジネスを始める場合はきちんとこれらの知識は把握しておく必要があります。
特に養殖場を造る際には、飼育したい密度に合わせた酸素供給装置選定をするとともに、それを維持するのにかかるランニングコストもきちんと考慮して設計しなければなりません。

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