【水質管理】「溶存酸素(DO)」とは?オススメの測定方法

循環式養殖(アクアリウム含む)の「水質管理」シリーズ①
循環式養殖についての記事はこちら(循環式養殖の水質管理

「溶存酸素量」とは?

「溶存酸素量」とは水中にどれだけ酸素が溶けているかを表す指標です。

酸素量は1L中に何mgの酸素が溶けているのかを測定します。
単位はmg/L(ppm)です。

水産養殖の現場ではDO値(Dissolved Oxygen)と呼ばれています。

なぜ「溶存酸素量」を測定するのか?

人間も水生生物も呼吸によって酸素を体内に取り込むことで生命を維持しています。
しかし、水生生物は人間と違い水の中の酸素をエラから取り込んで生きています。

そのため、水中の溶存酸素量が少なくなるとエラから呼吸ができなくなり酸欠で即死します。
死なないまでも溶存酸素が低下すると摂餌量や飼料効率が低下し成長率も低下します。

通常の魚であればDO値が6mg/L以上あれば大丈夫です。
ですが、溶存酸素の下限値は飼育する生き物によって異なります。

例えばニジマスは4.0~4.5mg/L、コイは3mg/L、ウナギ2.0mg/Lであることが実験で確かめられてます。

特に「循環式の養殖」や「アクアリウム」は育成水を再利用するため、新しい水を補給できず溶存酸素が低下しやすくなります。

さらにこれらの飼育方法では水生生物だけでなく、濾過槽内の微生物も酸素を利用します。
そのため、循環式養殖やアクアリウムでの溶存酸素の測定は一番重要な水質管理項目なのです。

「飽和溶存酸素量」とは?

溶存酸素量は水温や塩分といった条件によって上限値が変動します。

各条件下で上限まで酸素を溶かした際の水中の酸素量が「飽和溶存酸素量」です。

「水温が高い」、または「塩分が高い」と酸素は水に溶けにくくなり「飽和溶存酸素量」は低下します。
(夏場の暖かくなったコーラの炭酸がすぐになくなってしまうのと同じ原理です。)

下記の表は淡水の各温度による大気圧中での飽和溶存酸素量です。

水温(℃)DO値(mg/)
014.6
1011.3
169.9
209.1
248.4
287.8
307.5
386.6

(↑表:飽和酸素量(大気圧、淡水条件)

水温が高く、塩分濃度の高い海水での飼育は飽和酸素量が小さくなるため、酸素の維持が一番難しい条件となります。

溶存酸素量(DO値)のオススメ測定方法

養殖場では欠かせない一番重要な計測器は溶存酸素計(DO計)です。
それゆえに、耐久性が強く、汎用性が高く、信頼できる機器を選ぶ必要があります。
国内外含めて市販の様々なDO計がありますが、私のおすすめ(相棒)はこのDO計です。

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DO計(ID-160T)の特徴

このDO計は「海水」と「淡水」のどちらも測定可能です。

測定方法も電源を入れて即測定開始。測定値も0.1単位で測定可能(例:7.6mg/L)です。
メンテナンスも通常は水洗いでOK!

消耗品としては測定のセンサーを1年に1回購入し、自分で簡単に交換できます。
非常に壊れにくく、使い方に困ったときはメーカー専用ダイヤルがありすぐに質問できます。

海外品や、別のメーカーも使用しましたがすぐに故障することが多かったです。
このDO計は4年使ってもまだ現役です。

メンテナンス用の膜(ワグニットはこちら↓)
1年に1回はセンサー部分のワグニットは交換しなければなりません。

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まとめ

溶存酸素量の測定・管理は養殖の育成の中でとても重要な要素です。
そのため、育成管理期間中はDO値は毎日測定しています。

この溶存酸素を維持するための「酸素供給方法」については下記の記事でまとめています。
【水質管理】「酸素の供給方法」とは?どのような方法があるのか?

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