目次
就活生の現状
新卒で農業や水産、養殖といった1次産業を希望しても就職先はなかなかありません。そもそも、新卒で1次産業を希望する人も少ないです。
職種は営業職が大半で、工場の生産、事務職、総合職(結局は 営業になったり)といった職種になります。大きな会社に入りホワイトカラーで働くために、みんな大学に行ってるような状況になっています。
そのため、大学を卒業する新卒生が大企業でなく「1次産業を目指す!」と言えば、まわりの人達からは「何のために大学にいったの?」と言われてしまいます。
私も大学では食品科学を学び、就職活動をしました。「生き物を育てる仕事をしたい」と思いながらも世間の就活の流れに乗って大手食品卸の営業マンになりました。
食品卸の営業では「商売の基礎」、「組織の中での働き方」、「数字の管理」等様々なことを学びました。
しかし、サラリーマン生活をしながらも「生き物を育てることを仕事にしたい気持ち」があり、1次産業の仕事への興味は持ち続けいていました。
私の場合は運よく、新潟で養殖をしている同年代の「変人」に出会い、5年目で東京のサラリーマン生活を抜け出し、生き物を育てる1次産業に転職することができました。
よっぽど運がよくなければ、1次産業はやりたくてもできないのが現状です。
なぜ大卒で一次産業に就職する人が少ないのか?
答え:1次産業は給料が低いから(一般的に)
一次産業は儲けるのが難しいです。食品業界自体、ITや金融のような業界に比べれば儲からない中で、1次産業で生産者と言われる人たちはさらに厳しい状況です。
また、江戸時代には「士農工商」という制度があり、きちんとモノを生産する「農」は、モノを生み出さない「商」よりも位が高い時代もありました。
しかし、今はホワイトカラーや金融といった「商」が儲かる仕事になっており、世間の評価は高くなっています。
クリエイティブな仕事である「農」の立ち位置が低いのは大きな問題です。
~現代の職種に置き換えた「士農工商」~
「士」・・・政治家、官僚、学者
「農」・・・一般の生産者(昔の百姓で、今で言えばマルチクリエーター)
「工」・・・アーティスト、職人、専門家
「商」・・・金融、会計、営業等のビジネスパーソン
それでも就活生が一次産業を目指すにはどうすればいいのか?
それでも、1次産業に就職したい人はどうすればいいか?
様々な方法はありますが、今回は3つの方法をご紹介いたします。
①先代の後を継ぐ。
農業や養殖で一番多いのがこのパターンです。
すでに先祖代々農業や養殖を続けており、農地はある。ノウハウもある。売り先もある。
それをまるっと引き継ぐパターンです。
しかし、何も繋がりを持ってない就活生はこの方法は難しいです。
②自分で起業して生産者となる。
農業をやるのにも引き継ぐ農地がなければ、自分で農地を借り、生産計画を立て、集客して販売する。
また、養殖をやるのにも引き継ぐ養殖場がなければ、自分で水槽を作り、生産計画を立て、集客して販売する。
これを自分の会社を作ってやる方法です。
ですが、社会に出ていない就活生がこのフィールドで戦うのはなかなか度胸のいる決断をしなければなりません。
③1次産業をビジネスにしている会社でサラリーマンとして働く。
就活生にとってはこれが一番現実味のある選択肢ではないかと思います。
今は1次産業をビジネスとして儲かっている会社も数多く出てきています。先日、大手の第一次産業専用の就活サイトの方と話す機会があり、1次産業で儲かっている会社はどのような取り組みをしているかとお聞きしました。
やはり、儲かっている会社は「独自の販路」や「集客方法」や「付加価値」を見出している企業で、採用を活発化しているとのことでした。
就活生はこういった企業にサラリーマンとして就職できるようになってきています。
また、実際に働いてノウハウを蓄積した後に、②の「自分での起業」を選ぶといった方法もあります。
まとめ
1次産業を仕事にすると、予想外のトラブルや自分の生活を飼育している「植物や生き物」に合わせなければならない大変さはあります。
しかし、「生き物を育てる」という仕事はクリエイティブで普通のサラリーマンでは味わえない楽しみがあるのは事実です。
そして、生き物を生産して「食」を提供する社会的意義の高い仕事です。
今後も「農業・養殖ビジネス」に携わる人達は新しいビジネスモデルをどんどん作り出し、1次産業を希望する就活生が迷わずに進路を決められるよう、活躍できるフィールドを増やしていかなければなりません。