☆水質管理☆「塩分濃度」について

循環式養殖(アクアリウム含む)の「水質管理」シリーズ⑧
循環式養殖についての記事はこちら(循環式養殖の水質管理

「塩分濃度」について

養殖やアクアリウムで水生生物を育成するために重要な指標の一つに「塩分濃度」があります。水生生物は海水で育つ生き物と、淡水(真水)で育つ生き物がいます。そのため、飼育する生物がどのような塩分が適切かを把握して管理する必要があります。
今回は「塩分濃度の管理」について解説していきます。

「塩分濃度」とは?

塩分濃度(salinity)とは1kg(1L)中に含まれている塩の全量をgで表したものです。
単位は「ppt」「g/L」「千分率(‰、パーミル)」「pus(practical salinity units)」等の単位で表記します。
実務で使う場合は上記の4つの単位は同じものとして扱って大丈夫です。私は塩分管理をするときは計算のしやすいg/L(1L中に含まれている塩のg量)を使っています。

~単位の使い分けの詳細はこちら~
(ここは読み飛ばしても問題なし!!)
厳密にはこれらの単位は測定の方法によって変わってきます。「塩分」は海洋中のすべての炭酸塩を酸化物に変えて臭素とヨウ素を塩素で置換し、かつ有機物を酸化したときに海水1kgの中に含まれる固形物の全量を表したものです。これを絶対塩分と呼び、単位は千分率(‰、パーミル)で表します。しかし、この方法で毎回測定すことは困難なため、海水の電気伝導度を正確に測定して求めるのが一般的です。これを実用塩分と呼び、通常は数値だけで表記されるのですが、便宜上つけた単位がpsu(practical salinity units)です。
また、単に1L中に塩が何グラム入っているかを表した単位がppt、またはg/Lです。

海(海水)の塩分はどのくらいか?

世界の海水の塩分濃度は33ppt~37pptの間にあります。
塩分濃度は地域(海域)によって上下します。要因としては川からの淡水の流入、降雨、海氷の融解すると塩分濃度は「低下」し、海面の水が蒸発や氷結することで塩分濃度は「高く」なります。

生き物の「塩分耐性」について

水生生物は生息している環境によって塩分への耐性が大きく変わってきます。例えば、エビのように海で生まれて、汽水域(淡水に近い海水)で生息するような生き物は適切な塩分濃度の範囲が広い広塩性の生き物です。一方、真鯛のようにずっと海で生息する魚は狭塩性のため、かなり高い塩分濃度を維持しなければ飼育することができません。

塩分濃度の「測定方法」とおすすめの塩分濃度計

毎日の塩分管理に必要なのが塩分濃度計です。
アクアリウムや養殖で使用する塩分濃度の測定機器は下記の種類があります。
それぞれ特徴があり、メリットとデメリット含めてご紹介します。

・電気伝導度式の測定器(デジタル塩分計)

~特徴~
サンプルを2~3滴のせてボタンを押すだけの簡単測定!ボタンを押せば3秒でデジタル表記で測定結果を表示。測定結果も数値で出るためわかりやすく、正確で使いやすいです。デメリットは機械が高価なことです。こちらは完全にプロ仕様です。

・屈折式塩分濃度計(アナログ塩分計)

~特徴~
電池いらずで測定簡単!価格も安くアクアリウムを始めたばかりの方にピッタリ!しかし、目盛りがアナログで細かいため、計測値は正確な測定値ではなくざっくりとした数値になります。(頑張って見れば1ppt単位では測定できます。)

まとめ

水生生物(特に海水由来)を飼育する上で、塩分濃度の調整は必須の管理項目です。
淡水魚の飼育でも塩分(並塩)を添加する場合があります。淡水魚(錦鯉や鮎など)は通常の飼育をするのに塩は必要ありませんが、病気の発生や予防のために塩を入れる場合があります(3ppt~7ppt程度)。これは淡水に塩分が加わることで、淡水由来の寄生虫や細菌が死滅するためです。
(↓養殖で使用する際はこちらの塩がオススメです。錦鯉の養殖で実績があります。)

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