なぜ「山の価値」は失われてしまったのか?

なぜ「山の価値」は失われてしまったのか?

「山の価値」とはなにか?

私たちは「山の幸」としてキノコやタケノコといった旬の食材を美味しくいただいています。これらの食材は重要な「山の価値」です。しかし、ひと昔前までは「山の価値」は食材の供給源としてだけでなく、「資源」や「エネルギー」の供給源として大きな価値(富となるもの)を持っていました。

山の中で特に大きな価値を持っているのが「樹木」です。樹木は家や建物を建てるときに必要な「木材としての資源価値」と薪(まき)や炭といった「燃料エネルギーとしての価値」を持っています。これらの資源は里や町で暮らす人々が生活する上で欠かすことのできない重要な資源でした。山間部の人々は山からもたらされる資源を里や町で販売することによって山の価値をお金に変えることができていました。

なぜ山の価値はなくなってしまったのか?

食材」の供給源としての山の価値は今もありますが、近現代において一番大きく変化したのは「樹木」の価値です。
樹木の価値の消失は「木材としての価値の低下」「エネルギー源としての価値の低下」の2つの要因があります。

①「木材資源」としての価値低下

ひと昔前は国内の建物は国産の木材によって建築されていました。しかし、1964年の木材輸入自由化によって海外から木材を格安で大量に輸入することが可能になりました。そのため、輸入の木材が国内に溢れ、国産の木材資源の価値は急激に低下したのです。その後、30年間で木材の自給率は70%台から20%台にまで低下し、日本の林業は壊滅状態になってしまいました。(法改正の力の大きさは恐ろしいです。。。)
そして、今や価値のつかない木材(特に杉の木)は国内で放置され、日本中の人を困らせる花粉製造機となってしまってるのです!価値はなくなるし、花粉症の原因となり最悪です。

②「エネルギー源」としての価値の低下

山の樹木は薪(まき)として製品になり、燃焼させることでエネルギー源となります。昔の人達はこれらの木材を燃やして暖を取ったり、料理を作ったりしていました。しかし、第二次世界大戦後はエネルギーの中心は木材から石炭、石油といった「化石燃料」に切り替わっていきました。特に自動車産業が活性化するのに合わせて輸入量が増加。さらに、電力の供給も石炭の燃焼による火力発電によっての供給になりました。こうなるとエネルギー源としての樹木の価値は低下というよりも無くなったに近いほど価値を失ってしまったのです。。。

山の価値が無くなるとどうなるのか?

山で生活する人々は樹木を伐採して、燃料やエネルギー資源として「山の価値」を販売することにより収入を得ていました。山の人々は販売によって得たお金で、海で獲れた魚や里で獲れたお米と野菜を購入し、持ち帰ることで暮らしが成り立っていたのです。しかし、樹木の価値がなくなり、山からもたらされる価値がなくなることによってこの循環は途絶えてしまいます。山は価値の流れの上流にありましたが、完全に下流になってしまったのです。そのため、人々は山間部で暮らせなくなり、都市部に仕事を探しに出て行かなければならくなります。これが、日本の社会問題になっている山間部で過疎化が進み、都市部のみの過剰な人口集中を引き起こす原因になっているのです。

まとめ(今後の課題と取り組み)

この問題は山の山間部の衰退だけでなく、「農業」「水産業(+養殖業)」にも言えることです。価値の上流となれるように新しい価値を生み出し続けていかなければ「農業」も「水産業(+養殖業)」もどんどん衰退していきます。

「農業」では生産される農産物の価値を高めるのは急務です。コストを下げて、付加価値を高める取り組みをしなければ販売力がなくなり、農地や田んぼは放棄されて衰退していきます。さらには生産物自体の価値だけでなく、農作物の「収穫体験ツアー」や「生産過程のこだわりの配信」等も展開していく必要があります。どんどんYouTubeやSNSといったメディア活用していかなければこれからは生き残れません。

「水産業」でも漁船ごとに漁獲制限をきちんと設定し1隻1隻の漁獲効率をあげてコストを下げ、資源もきちんと確保していかなければ価値を生み出せず衰退していきます。養殖においても、コスト問題や種苗生産の問題等多くの課題が残っており新しい価値を必死に作っていく必要があります。

また「山間地」については「山のエネルギー源」としての役割を復活させるために、山間部で太陽光発電小水力発電といった発電に取り組むのも一つの手です。電力は山の資源として有効活用できるはずです。(小水力発電については後日詳しく調べて記事にする予定です。)

現状は各地方の山、海、農地は衰退の一途をたどっていますがこの流れは変えていかなければなりません。絶対に阻止しましょう。既存の方法だけでなく、新しい価値を生み出してましょう。そして、自然環境に人の手も加えて一つの生態系をつくりあげ、それを自然と共存しながら循環させられるようなイノベーションを起こしていきましょう!!

参考書籍
小水力発電が地域を救う 中島 大 著

 

 

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