「バイオプラスチック」は本当に環境に優しいのか?

バイオプラスチック?

「バイオプラスチック」とは?

私たちの生活に欠かすことのできない安くて便利な素材であるプラスチック。
しかし、今このプラスチックが世界中で大きな問題になっています。
この問題を解決するため、新しい技術開発や取り組みが次々と行われてきています。

今回はこの問題の解決策として注目を集めている「バイオプラスチック」についてわかりやすく解説していきます。

ペットボトル

「バイオプラスチック」の定義とは?

「バイオブラスチック」とはプラスチックとは
下記の2種類のプラスチックの総称となっています。

・「生分解性プラスチック」
・「バイオマスプラスチック」

「生分解プラスチック」とは通常のプラスチックと同様に使うことができ、
使用後は自然界に存在する微生物の働きで、最終的に水と二酸化炭素に分解され
自然界へと循環するプラスチック。

「バイオマスプラスチック」とは再生可能なバイオマス資源(生物資源)を原料に、
化学的または生物学的に合成することで得られるプラスチック。

引用:日本バイオプラスチック協会 概況資料

※注意なければならないのは、バイオプラスチックの中には「化石燃料由来のプラスチック」や「バイオマス由来であっても生分解されないプラスチック」もあるということです。

バイオマスプラスチックにはどのようなものがあるのか?

バイオマス(生物資源)由来のバイオマスプラスチックには下記のような種類があります。

①PLA(ポリ乳酸)
透明性に優れていますが、伸びや柔軟性にかけることが特徴です。
②PBS(ポリブチレンサクシネート)
透明性は劣りますが、引張り強伸度、耐衝撃性に優れています。
③PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)
耐衝撃性とフィルム感は劣りますが、剛性、耐水性、ガスバリア性に優れた硬質樹脂を生産できます。

引用:みんなが知りたいシリーズ⑫発酵・醸造の疑問50

今、一番実用化が進んでいるのはPLA(ポリ乳酸)です。

なぜ、「バイオプラスチック」が注目されているのか?

プラスチックの大量廃棄問題

バイオマスプラスチックが注目されている最大の理由は
「世界中で大量に廃棄されたプラスチックが環境や生態系に大きな害を与えている」からです。
プラスチックは安くて、軽くて、耐久性があるとても便利が素材です。
しかし、便利がゆえに世界中の人々がプラスチック製品を使うことによって廃棄されるプラスチックゴミが大きな問題になっています。

プラスチックの最大の問題点は
「微生物によって分解されずにいつまでも残り続けてしまう」ことです。
そのため、海洋に流出したプラスチックゴミはウミガメなどの海洋生物が誤飲して窒息死してしまうだけでなく、 細かくなったプラスチック(マイクロプラスチック)を魚が食べ、その魚を食べることで人間の体内にまでプラスチックが入ってきてしまっています。
このように、生物の循環系に入ることのできないプラスチックは世界的な問題になっています。
この問題を解決する1つの技術としてバイオプラスチックが注目されています。
マイクロプラスチック

微生物によって分解することができる!!

通常のプラスチックは堆肥化することができませんが、バイオプラスチック(種類によりますが)は適切な処理場で堆肥化することができます。そうすることでプラスチックがもう一度自然の循環サイクルの中に戻ることができます。
堆肥化

石油資源の依存度を減らせる!

世界の石油の約8%がプラスチックの生産に使われていると言われています。
バイオプラスチックはその代替えとなる可能性を秘めています。
化石燃料

食品廃棄物の再生利用率があがる!

例えば、コンビニでお弁当の賞味期限が切れてしまったとします。
するとオーナーさんはそのお弁当を廃棄にします。
今はこのお弁当は中身は堆肥化可能ですが、包装はプラスチックのため焼却処分するしかありません。
しかし、容器がすべて生分解プラスチックであれば、包装容器を分別することなくそのまま堆肥化することが可能になります。
弁当廃棄

バイオプラスチックの課題と問題点とは?

バイオプラスチックも海に流れれば分解されない。。

バイオプラスチックが生分解されるといっても適切な処理施設で堆肥化しなければなりません。そのため、バイオプラスチックも海に流れてしまえば、普通のプラスチックと変わりません。(海を延々と漂い、マイクロプラスチックとなります。)

現状は圧倒的に普通のプラスチックの生産が多いため、処理施設も少ないです。
そのため、販売時に「エコなバイオプラスチックです」とアピールするだけで、環境汚染という観点でみると役に立っていないという問題があります。。

生産コストが高い。

環境に優しいといっても、生産コストが高ければ普及は難しいです。。
生産コスト

まとめ

バイオプラスチックの今後について

バイオプラスチックの技術はプラスチックにおける環境問題を解決するための希望であることは間違いないと思います。
しかし、現状はか本当に環境に優しい技術になっているかと言うと。。。。
イマイチな感じです。
今よりもさらに、生産コストが下がり(もしくは化石燃料が手に入らなくなる)、簡単にどこでも堆肥化できる技術が進歩することで本当に環境に優しい技術となり、普及が進むことを期待しています!!

プラスチック問題について

「バイオプラスチック」の利用はあくまでプラスチック問題の解決の1つです。
これに加え、問題解決には根本的にプラスチックの使用を抑えることも重要です。
今は外食チェーンがプラスチックのストローを紙製にするなどの取り組みも始まっています。
個人個人でも、スーパーのビニールの使用を控えたり、ペットボトル飲料に頼らずに水筒を使うなど小さな取り組みも大切だと思います。
エコバック

参考書籍
・みんなが知りたいシリーズ⑫発酵・醸造の疑問50
東京農業大学応用生物化学醸造科学科編 成山堂書店

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・みんなが知りたいシリーズ⑫発酵・醸造の疑問50
東京農業大学応用生物化学醸造科学科編 成山堂書店
内容:発酵と醸造についての身近な疑問に醸造科学の視点から丁寧に解説。
お酒やみそ、醤油といった身近な食品の疑問から微生物による環境の浄化やエネルギー開発についてまで書かれています。
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