自作「バブルバス装置」の作り方!DIYした機械の効果を検証!

自作の「バブルバス装置」の作り方!!

以前、養殖での酸素供給方法についての記事の中でご紹介した、「ベンチュリー方式の酸素供給システム」を自宅のお風呂に取り付けたら「バブルバス発生装置」ができると考えて自作(DIY)してみました!
※今流行りのDIYはDo It Yourself(自分でやってみる)の略語です。

養殖の酸素供給方法についての記事はこちら
【水質管理】「酸素の供給方法」とは?どのような方法があるのか?

今回の記事では「バブルバス装置の作り方」から「バブルバスの残留塩素減少効果についての実験」まで詳しくご紹介していきます。

なぜ、「バブルバス装置」をDIYで自作したのか?

「バブルバス装置」を自作した理由はある仮説を確かめるためです。もし、その仮説が立証できれば「お肌にやさしい☆自宅でジャグジー」のような画期的な製品ができるのではないかと考えて今回の実験を計画しました。

仮説:バブルバス装置を自宅のお風呂に取り付けたら「美肌効果」が期待できるのではないか?

お風呂のお湯を含め、水道から出てくる水は塩素による殺菌消毒が行われており、多くの残留塩素が含まれています。水道水の塩素は水道管の中で水が腐敗しないように必要なものではありますが、お風呂のお湯に多くの塩素が入っているとお肌によくありません。そのため、「バブルバス発生装置(ベンチチュリー方式)」で給水することで、お風呂の水が曝気され、残留塩素が減少した「お肌にやさしい美容効果のあるお湯が作れるのではないか?」と仮説を立てました。

仮説検証のための「実験方法」とは?

今回の「実験方法」は3種類の方法で給水したお湯を採水し、それぞれの水の残留塩素濃度を測定することにしました。
結果として「残留塩素濃度が一番下がった方法が、お肌にやさしいお湯」となります。
実験で給水するお湯の温度は44℃で設定しました。

写真↑:給湯器の温度設定)

実験の3種類の採水方法の設定は下記の通りです。

①水道から出てきたお湯

水道から出てきたお湯を直接採水して計測。(空気に触れずに曝気されてない水)

②蛇口から普通に給水し、水深が20cmになった時に採水した水

給水時の様子:ジャバジャバと音を立てながら水が溜まっていく。

③自作「バブルバス装置」を使って、水深が20cmになった時に採水した水

給水時の様子:ベンチュリー方式で勢いよく空気を吸い込んで、曝気しながら水が溜まっていく!!

「バブルバス装置」はどうやって作るのか?

「仮説」と「実験方法」は上記の内容で設定しました。
この実験をするための「バブルバス発生装置(ベンチェリー方式)」の作り方をご紹介しいきます。

自作「バスバブル装置」の作り方

作り方を活字で読むのが面倒な方は下記の動画をご覧ください↓

①材料の用意
材料は近くのホームセンターで購入してきました。揃えた材料のリストは下記の通りです。

~材料リスト~
・「塩化ビニル配管」(13φ 耐衝撃の黒)
直管 1m×2本、チーズ 1個(T字型のパーツ)、エルボ 1個(L字型のパーツ)

↑写真:左 チーズ、右  エルボ)
・「ホース」(内径18mm 50cm)

・蛇口とホースをつなぐ「ジョイントパーツ」

・ホースと塩ビ配管を固定する「ホースバンド」
ステンレスの方が錆びないのでオススメです。

・「ペットボトルのキャップ」
普通のキャップです。


↑写真:バブルバス装置のすべての材料)

②材料のカット・加工・組み立て
用意した材料を加工して組み立てていきます。

①塩ビ配管は必要な長さにカット。
塩ビ配管のカットは専用のハサミがを使うと便利です。

②ホースを必要な長さにカット。

③ペットボトルのキャップの加工
ペットボトルのキャップは塩ビのチーズ(T字型のパーツ)の内径にピッタリなるようにハサミでカットします。そして、真ん中にガスコンロで暖めたドライバーで穴をあけます。

↑写真:左 ペットボトルのキャップで作ったパーツ、右 チーズ)

④材料が揃ったら組み立てます。

↑写真:組み立てた「バブルバス装置」)

③お風呂場にセット
後はできたバブルバス装置をお風呂場にセットしたら完成です。

↑写真:完成した「バブルバス装置」です!)

「実験結果」はどうなったのか?

実験は「①水道から出てきたお湯」「②通常通り蛇口から給水したお湯」「③バブルバス発生装置で給水したお湯」の3種類の残留塩素濃度を測定しました。

まず、「①の水道から出てきたお湯」です!!
結果は0.52mg/Lです。水道の塩素は0.1mg/L以上が基準ですがかなり多くの塩素が残っています。
やはり水道水を直接使うのはお肌に悪そうです。。
(魚を水道水で飼うためにはこの塩素は中和しないと死ぬ可能性が出てきます。)

↑写真:①の水質測定データ)

次は、「②の水道から直接給水して溜まったお湯」です!
結果は0.29mg/Lでした!
水道からバシャバシャと浴槽に一度給水しただけで、水が落下した衝撃と水面の揺らぎでかなり曝気が進み塩素が飛んでいって減少しています。これでも普通のお湯をそのまま使うよりかなり「お肌にいいお湯」になりました。
↑写真:②の水質測定データ)

最後はお楽しみの「③バブルバス発生装置で給水したお湯」です!!!
仮説通りならこれが一番残留塩素が少なくなるはず!!
そして結果は。。。0.37mg/L!!

↑写真:③の水質測定結果)
あれっ!!残留塩素濃度は下がってはいますが「②の通常の蛇口からバチャバチャ給水」した方が「③のバブルバス発生装置で給水する」より残留塩素濃度の減少率が高いという残念な結果に(T_T)!

考察(まとめ)

結果として、一番お肌にやさしいお湯(残留塩素が一番低いお湯)は「②の通常のお湯をバチャバチャ給水した場合」といった残念な結果となりました。
「バブルバス装置」が一番であってほしかった。。。

つまり、水と空気が一番効率よく混ざる条件は「水が落下した際の強い衝撃」「水面の揺らぎ」ということが改めてわかりました。「バブルバス装置」のバスポンプをつけてお湯を循環式にできるように改造すれば効果は期待できますが、湯沸かし機がない我が家ではバブルバスを循環されてる間にお湯が冷めてしまうためあきらめることにしました。。。

この結果を見ると、確かに「温泉」のかけ流しは高いところから水が落ちてきていることに気が付きます(温泉のかけ流しの本当の役割は比重の重い硫化水素が水中に溜まることによって発生する「硫化水中毒を起こさないようにする」ためです。これは温泉では必須になっています。)。さらに海外のエビの養殖場などでは池の上の「水車」が水面に強い衝撃を与えて、水の揺らぎも作っています。

おまけ(養殖ビジネスに新規参入する方への注意事項)

循環式の養殖では今回紹介したバブルバス発生装置で使った「ベンチュリー方式の酸素供給」はコストが安く、効率も良いためオススメです!!

また、養殖業界では「ナノバブル発生装置」「マイクロバブル発生装置」といった装置が話題になっています。これらは水にたくさん酸素が溶けそうなイメージはありますが、メーカーのイメージに騙されると今回の実験のように「実際はあまり効果がでない」という結果になる可能性が高いです。そのためこういった機材の購入は慎重に行った方がよいです。(酸素供給が十分であればマイクロバブルやナノバブルを追加したからと言って水産物の成長がめちゃくちゃ良くなることはありません。)

2 COMMENTS

通りすがりの民

大変興味深く拝見しました。
残留塩素の結果は、ピンホール手前で物理的に吸着濾過させてみるのも面白いかもしれませんね。
また、マイクロバブルの効果としての微細な泡の洗浄効果は十分にあると思うので、改良すればさらにいいものになりそうですね!!

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