目次
「FRP」とは何か?
自分でオリジナルの「自作FRP水槽」を作りたい!!
コンセプトは「循環型の養殖」+「植物工場」のアクアポニックスで作っていきます。
今回の記事ではまず水槽の材質となる「FRP」についてわかりやすく解説していきます!
「FRP(Fiber reinforced plastics)」の定義は?
「FRP」とはF=fiber(繊維)、R=reinforced(強化)、P=plastics(プラスチック)のことです。一般的には炭素繊維やガラス繊維で補強された、プラスチック材料です。
(↑写真:FRPのガラス繊維)
つまり、「FRP」は複合素材です。「複合素材」とは「2種類以上の材料を混合することで、単一の種類の材料では達成できない特性を持ち、達成する材料の中で異種材料の間に明確な界面が存在し、互いに固溶しない材料」と定義されています。
※「粘土、木材、金属板などの1つの固有の性質を持つ通常の材料」は単一素材です。
「FRP」の特性とは?
「FRP」を使うことには多くのメリット(長所)があります。しかし、FRPも万能素材でないためデメリットもあります。そのため、下記ではFRPの特徴を「長所」と「短所」に分けて解説していきます。
・「FRP」の長所とは?
①軽くて強度が高い!
「FRP」は「高強度の繊維素材」と「比較的軽量なプラスチック素材」を利用した複合素材であるため、軽くて強度が高いです。特に強度は繊維が維持しており、配置する繊維の方向によって材質特性が変化します。そのため、金属材質の様に全方向に対して等しい強度を持つのでなく、強度特性をコントロールすることができます。
②錆び(サビ)にくく、腐りにくい!
FRPの材質は基本的にはプラスチック素材であるため、サビがでにくく、腐りにくいです。そのため、塩水を使う海水魚の飼育用のタンク(水槽)にはピッタリです。
③簡単にイメージした形をつくることができる!
通常、プラスチックでの大きな化学工業製品は大きいプレス機や加熱装置等の大きなプラント設備がないとできません。しかし、「FRP」で形を作るのには作業場だけあれば簡単に構造物の形を作ることができます!
④電気の伝導性や絶縁性を持たせることができる!
FRPの繊維の種類を変えることで任意の電気絶縁性や導電性を付与することができます。例えば強化材にガラス繊維を使えば絶縁性を示し、炭素繊維を用いた場合は電気導電性を示します。
・「FRP」の短所とは?
①燃えやすく、表面に傷がつきやすい。
FRPはプラスチック素材であるため、燃えやすく表面には簡単に傷がつくといった弱点があります。
②材質の強度に弱い方向がある。
強化材の繊維には方向があり、強度の強い方向と弱い方向ができてしまいます。(弱い方向に力がかかると折れてしまいます。)
③材料内部の損傷を検知しにくい。
FRPは2つの材質を組み合わせているため、材料内に界面を持ちます。つまり、破壊される時のプロセスが複雑になります。そのため、FRPの材料内部から損傷が発生する場合に事前の検知することが困難になります。
FRPはどのようなものに使われているの?
FRPは軽さや強度、経済性や作りやすさなどの理由で様々な用途で使用されています。
実際に使用されている例を下記に記載します。
・「水槽」や「浴槽」などの水回りの製品
FRPは耐食性と軽量性が優れているため、「養殖用の水槽」や「浴槽」などの水回りの製品によく使われます。
・「船舶」や「ボート」
プレジャーボートから大型船まで多くの船の部材としてFRPは利用されています。
・「自動車」や「バイク」
車体軽量化のために車やバイクでもFRPのパーツが使われます。
・風力発電のブレード(羽)の部分
近年は風車の翼の大型化が進んでおり、軽量で強度の強いFRPの材質が採用されています。
・ベンチ等の一般の構造物
どこにでもある駅やバス停のベンチでもFRPは使われています。
(↑写真:FRPで作られた椅子)
FRPの「強化繊維」の種類はどんなものがあるのか?
強化材の繊維は作りたい構造物の特性に合わせて非常に多くの種類があります。大きく分けて3つの繊維があります。下記では3つの繊維の特徴についてご紹介いたします。
①炭素繊維
「炭素繊維」は軽量で高強度な素材です。しかし、製造に多くの電力を消費する上、原料から製品を作るときに原料の無駄も多い欠点があります。また、炭素繊維の加工粉については人体に対する有毒性もあるため「安全性の確保」も課題になっています。
②ガラス繊維
「ガラス繊維」は強度や耐熱性、電気の絶縁性などの良い特性を持っています。さらに、特性と価格のバランスもとれた素材であるため、現在ではFRPの強化材として幅広い分野で使用されています。
③天然繊維
FRPの強化材には優れた特性を持っている「炭素繊維」や「ガラス繊維」が多く使われています。しかし、これらの繊維は非分解性で化学的にも安定であるため廃棄処分が困難で環境にやさしくないといった問題があります。そのため、環境を重視した製品には天然繊維が使われれいます。天然繊維には「植物性」と「動物性」の2種類があります。一般的には強度が高く安定供給できる「植物性の天然繊維」が使われることが多いです。
FRPの「樹脂(プラスチック)」の種類はどんなものがあるのか?
「FRP」のプラスチック素材である樹脂には「熱硬化性樹脂(ねつこうかせいじゅし)」と「熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)」の2種類があります。
一般的にFRPを作る際には、「熱硬化性の樹脂」が使われています。
実際に水槽を自作したい!
どうすればFRP水槽を作れるのか?
FRP水槽の「作り方」と「手順」とは?
FRP水槽の「作り方は簡単!」とのことです。
(実際にやってみないと本当にできるかわかりません。。)
~FRP作成手順「3ステップ」~
①ベースとなる材質で原型を作る!(今回はプラスチック段ボールで作成)
②べースの型にガラス繊維を敷く!
③ガラス繊維の上から樹脂を塗る!
簡単な手順の流れは上記の通りです。
また、「FRP水槽」を作るためには完成させる水槽構造のイメージが必要です。
今回はプラスチックの段ボールで理想の形を模型でざっくりと作ってみました!
(最初から設計が欲張りすぎているため、実際には1つ1つFRP化していこうと思います)
(↑写真:自作したアクアポニックス水槽の構造模型)
まとめ
今回は「FRPの基礎知識」についてご紹介していきました。
これから実際のFRP水槽の作成に着手していきます。知識だけでは技術は身につかないですし、欲しい水槽は作れません!(たぶん実際にやってみるといろいろな失敗も出てきます!)
リアルな水槽を実際に使った際の「材料」や「手順(成功や失敗も含めて)」は改めて詳しく別の記事にて後日アップしていきます!
参考書籍
・基礎からわかるFRP~繊維強化プラスっチックの基礎から実用まで~
強化プラスチック協会 編
・FRPボディとその形成法
浜 素紀 著
「FRP」についてのオススメ書籍
・基礎からわかるFRP
この本はFRPの定義から特性といった基礎的な知識から設計方法や非破壊検査といった専門的な知識まで網羅しています。FRP初心者の私も専門性が高い割にとても読みやすく、FRPについての理解を深めるのに最適な一冊です!