目次
「毒」と「薬」は何が違うのか?
まず、結論から言ってしまいます!!
「毒」と「薬」の違いとは?
「毒」は、人に対して「悪い作用」をする物質。
「薬」は、人に対して「良い作用」をする物質。
とっても「わかりやすい違い」です!!
完全に人間目線で分けた分類であるため、
「毒」も「薬」も本来はただの化学物質なのです。
(日本では「薬毒同源」などとも言われます)
この分類の方法は「発酵」と「腐敗」の分類の仕方と同じです。
あくまで、人間の自己都合な定義で決まっています。
(「発酵」と「腐敗」についての記事はこちら↓)
【発酵食品の基礎知識】「発酵と腐敗の違い」とは?
「毒」にはどんな種類があるのか?
食品の中にも「毒」を持ったモノは数多くあります。
毒のある食品の代表として例をあげると、
農産物では「毒キノコ」や「トリカブト」などが有名です。
水産物であれば、「フグの毒」が一番よく知られています!
(フグの毒について詳しくまとめた記事はこちら↓)
「ふぐの毒」について!養殖のフグは毒をもたない!?
食品以外にも「毒」の範囲を広げると様々な種類の毒があります。
そんな数ある「毒」は大きく分類すると「自然界の毒」と「人工的な毒」の2つに分けることができます。
「自然界の毒」の種類とは?
自然界の毒には下記のような毒があります。
~「自然界の毒」の種類~
・植物毒
・動物毒
・キノコ毒
・微生物毒
・鉱物毒
・火山性ガス
「植物毒」にはトリカブトのような植物や、タバコのニコチンなどもこの毒に含まれます。
「動物毒」にはハチやヘビが持っている毒です。
刺されたり、噛まれると死に至る可能性があります。
また、フグのテトロドトキシンのように食べるとヤバい毒もあります。
「キノコ毒」は言うまでもなくキノコの毒です。
「ベニテングタケ」や「アセタケ」などが有名です。
(山で獲ってきたキノコを自分の判断で食べるとヤバいです!)
「微生物毒」は食中毒を引き起こす微生物が持っている毒です。
食品を扱う際にはどこにでも発生するので衛生管理には注意を払わなければなりません。
特に強力で有名な食中毒菌は「腸管出血性大腸菌O-157」で、1996年に集団感染した際には12人もの死者と出しています。。
「鉱物毒」で有名なものには「水銀」や「ヒ素」といった物質があります。
「火山性ガス」には「硫化水素」や「一酸化炭素」などがあります。
特に危険なのが一酸化炭素です。一酸化炭素は無色無臭の気体で非常に強力な毒性を持っています。
さらに、一酸化炭素は火山だけでなく、「火災現場」や「七輪で焼き物をした際」などの身近なところでも発生するため注意が必要です!
「人工的な毒」の種類とは?
~「人工的な毒」の種類~
・神経毒
・公害が原因の毒
・工業製品の毒
・向精神薬
「神経毒」には「サリン」や「VXガス」などがあります。
これらの毒ガスは戦争やテロで使用されて多くの死者を出しています。
「公害が原因の毒」は「メチル水銀」や「亜硫酸ガス」などがあります。
特に「メチル水銀」は1950年代に熊本県の水俣市で1950年代には新潟県で「水俣病」を引き起こした原因物質として有名です。
「工業製品の毒」には「青酸カリウム(青酸カリ)」や「各種の農薬」などがあります。
青酸カリは刑事ドラマでも登場する毒で、犯人がよく飲み物に混ぜて使う程の効果は強力です。
「向精神薬」は毒なのに薬となっていますが、これらの代表的なモノは「コカイン」や「覚せい剤」です。これらの物質は一時的に快感をもたらしますが、依存性が高く精神を崩壊させる危険性があります。そのためこれらの薬は「規制薬物」に指定されており、所持していると逮捕されます。
身近な「毒」にやられた時の緊急対処法とは?
今回の記事ではたくさんの「毒」についてご紹介してきました。
毒は私たちが生活している身近なところにもたくさん潜んでいます。
特に、自然界にある「植物毒」と「動物毒」は普段の生活でも関わる可能性高い毒です。
そんな毒の被害にあってしまった際の緊急対処法としていくつかのパターンをご紹介していきます。
パターン①「毒キノコ」を食べてしまった!!
山菜や野草を採りに山に行くと、美味しそうなキノコを目にすることがあります。
しかし、素人の浅い知識で判断してきのこを採取して食べてはいけません。
もし、誤って食べてしまった時の対処法は下記の通りです。
・キノコをすぐに吐き出させる。
(意識がない場合や痙攣している場合、気道に吐いたモノが入る可能性があるため無理に吐き出させてはいけない。)
・食べ残し、または吐き出したキノコを持ってすぐに病院へ!!
(キノコの現物があれば、毒の特定に役に立ちます。)
パターン②ハチに刺されてしまった!!
ハチは人間の生活環境にいるため、刺されてしまう危険性は非常に高いです。
特に危険なハチは攻撃性が高く、強い毒を持っているスズメバチです。コイツは要注意です。
もし、刺された場合の対処法は下記の通りです。
・傷口をよく洗い流す。
・毒針が残っている場合はそっと抜く。
・手で毒液を絞り出す。
・すぐに病院へ!!
〜注意〜
毒を吸い出す時に絶対に口で吸いだしてはいけません!
口に傷があると毒が体内に入ってしまいます。
(下記のような専用機器を非常用に用意しておくのがオススメです。)
(↑毒を応急で抜くための緊急用のセットです)
パターン③毒ヘビに噛まれてしまった!!
「ハブ」や「マムシ」などの強力な毒を持つヘビに噛まれた際の対処方法は下記の通りです。
・傷口より心臓に近い方を布などで縛り、毒が全身にまわらない様に安静にする。
・手で毒を絞り出す。
・すぐに病院に行き、抗毒素血清の投与を受ける。
〜注意〜
ヘビを吸い出す時もハチの時と同様に、口で毒を吸い出してはいけません。
パターン④毒ガス(一酸化炭素、塩素、硫化水素)を吸ってしまった!!
一酸化炭素は室内で何かを燃やした時に大量に発生します。
また、「塩素ガス」は水処理施設で除鉄装置用に使う「次亜塩素酸ナトリウム」と「ポリ塩化アルミニウム」を誤って混ぜると発生します。そのような毒ガスを吸ってしまった時の対処法は下記の通りです。
・建物内で発生した場合はすぐに換気をする。
・外に出て新鮮な空気を吸わせる。
・重症の場合は人工呼吸や酸素吸引を行う。
・すぐに病院に行く!
まとめ
毒の被害を受けてしまった時の応急処置のパターンをいくつか記載しましたが、これらはすべて応急処置です。
少しでも症状が出ている場合はとにかくすぐに病院に行くのが重要です!
~参考書籍~
・Newton【ニュートン】2019年11月号