【ステンレスが錆びた!?】金属が錆びる「原因」とは?

サビ(錆)について

【原因】なんでステンレスが錆びるのか?

そもそも「金属」はなぜ錆びるのか?

鉄は表面に「酸素」と「水」があると化学反応を起こして侵食されていきます。
この現象のことを「錆びる(サビる)」と言います。
錆びた状態

鉄は、もともと鉄鉱石から精錬されたものです。
「鉄鉱石」は自然界では「酸化鉄」の状態で存在しています。
これが鉄本来の姿です。

しかし、人間はこの鉄鉱石から鉄鋼材料を作るためにコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)を反応させて酸素を取り除いて人工的に「鉄」を作りだしています。

鉄は本来の姿の方が安定しているため、元の姿に戻ろうと必死です!!
このもとにもどる際に発生するのが「錆び(腐食)」なのです。

鉄の酸化還元
↑イメージ:「鉄鉱石」と「鉄」の状態

ステンレスの材料は大部分は「鉄(金属)」です。
そもため、ステンレスもこの影響を受けます。

しかし、ステンレスは鉄に「クロム」を混ぜることで、表面に厚さ1~3nmの「不動態皮膜と呼ばれる膜をつくっています。この膜は傷がついてもすぐに再生します。

つまり、この皮膜が鉄をバリアしてくれているのです!
酸化皮膜

サビないはずの「ステンレス」が錆びる条件とは?

ステンレスは錆びないのではなく、錆びにくいだけです。
そのため、サビは発生します。

特に下記のような条件が揃うとよりサビが出やすくなるので注意が必要です。

「塩化物」の付着によるサビ

塩化物は海水や食品、人の汗の中にも含まれています。いわゆる「塩分」です。
塩化物
ステンレスは表面を酸化皮膜で覆われているため、耐食性が高いです。
しかし、塩化物イオンが付着すると局部的にこのバリアが破壊されて母材が露出することになります。
そうすると、その部分が陽極となって溶解して局部的に腐食(サビ)が進んでいきます。
この現象を「孔食」と言います。

「酸欠」によるサビ

鉄は酸化することによってサビるため、「酸欠」は問題ないように感じます。
しかし、部分的に酸欠になると下記のように局部腐食が進みます。

~局部腐食の流れ~
・部分的に酸素濃度の低い部分が発生。
・その部分の電位が低下。
・電位が低下により塩素イオンが集まる。
・塩酸発生。
・pHが低下。
・不動態皮膜が破壊!!

そして、酸欠になる原因としては
・「フランジとパッキンの隙間など構造的に発生する隙間」
・「砂やほこりで酸素が行き渡らなくなったりする場所」
などが考えられます。

もらい錆によるサビ

他のさびやすい金属の鉄粉がステンレス鋼に付着することでサビが発生します。
このように他から錆をもらってしまうことを「もらい錆」と言います。

作業の際はサビてる金属の粉などがステンレスに付着しないように注意が必要です。
サンダー

【選定方法】サビないステンレスはないのか?

絶対にサビないステンレスはありません。
しかし、錆にものすごく強いステンレスはあります。

それが「SUS316」です。
SUSの種類についての詳細は下記を参照ください。
SUS304_SUS316_SUS430 【ステンレスの種類】「SUS306」と「SUS316」の違いとは?SUSのランクと性能について

これは、鉄に「クロム」と「ニッケル」を高比率で混ぜています。
さらに「モリブテン」といった希少金属まで添加してクロムの自己修復作用を高めてます。

そのため、錆に対してめちゃくちゃ強いのです。

どうしてもサビさせたくない場合はこういったステンレスを選定する必要があります。
※その分価格は高くなりますが。。

 

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