「ステンレス」には様々な種類があります。
使用する際は「現場の環境」,「負荷の強さ」,「価格」,「見た目」など用途に合わせて種類を選定して使い分けます。
選定の失敗例としては、
海水の近くで間違ったステンレスを選ぶとあっという間にサビます。
しかし、どのように適切な種類のステンレスを選べばよいか非常にわかりにくいです。
この記事では
「ステンレスの種類をどのように選定すればよいのか」わかりやすく解説していきます。
目次
【性能の違い】なぜ同じステンレスで性質が違うのか?
同じステンレスでも種類によって性能が全然違います。
なぜ「性能」や「価格」の差がでるのでしょうか?
それは、「使っている材料が違うから」です。
ステンレスは鉄に「クロム」や「ニッケル」を混ぜることによって特殊な性質※を持たせています。
※特殊な性質とは「耐食性、耐候性、耐摩耗性が強くなる性質」です。
しかし、クロムやニッケルは希少な金属なのでとても高価です。
※価格はクロム(高価)<ニッケル(超高価)です。
そのため、クロムとニッケルを多く使ったステンレスは
「性能アップ」をしますが、「コストもアップ」してしまいます。
その中でも、よく使われるのが下記の3つのステンレスです。
他にもたくさんありますが、今回は代表的な3つのステンレスを解説していきます。
~代表的なステンレス3種類~
①SUS304(読み方:サスサンマルヨン)
②SUS316(読み方:サスサンイチロク)
③SUS430(読み方:サスヨンサンマル)
「SUS304」について
「オールマイティーなバランスタイプ」です。
【金属組成】SUS304はどのような成分でできているのか?
「クロム」を約18%、「ニッケル」を約8%含んでいます。
【メリット・デメリット】SUS304の「良いところ」と「悪いところ」は?
・メリット
耐食性、耐熱性、加工性、溶接性が高く、さらに強度も強く、光沢もあって見た目もキレイです。基本性のが高く、とてもバランスがとれた優秀な金属です。
・デメリット
クロムとニッケルと含んでいるため、価格が高いです。
・その他の特性
磁石にはくっつきません。
【用途】SUS304はどのようなところで使われるのか?
SUS304は強度も強く、高温酸化耐性もあるため、高温環境でも使用できます。
そのため、ほとんどのところで使用することが可能です。
しかし、海水などの塩分濃度がものすごく濃い環境に常時さらされるとサビがでるため使用できません。
「SUS316」について
「最も優れたステンレス」です!!
【金属組成】SUS316はどのような成分でできているのか?
「クロム」を約18%、「ニッケル」を約12%含んでいます。
さらに、「モリブデン」も添加しています。
ニッケルの割合もSUS304より増えて、モリブテンまで加わっています。
【メリット・デメリット】SUS316の「良いところ」と「悪いところ」は?
・メリット
SUS304のメリットは全て引き継いだまま、更に「耐食性がアップ」しています。
まさに「最強ステンレス」です。
・デメリット
めちゃくちゃ「高価」です!!
・その他の特性
磁石にはくっつきません。
【用途】SUS316はどのようなところで使われるのか?
海水で養殖場で使用する機械は間違いなくSUS316です。
また、常に水に触れる箇所や潮風の影響を受ける環境でも使われます。
絶対にサビたり腐食したりしてはダメな場所に最適です。
「SUS430」について
「価格重視のステンレス」です。
【金属組成】SUS430はどのような成分でできているのか?
「クロム」を約18%含んでいます。
「ニッケル」や「モリブテン」などは含まれていません。
【メリット・デメリット】SUS430の「良いところ」と「悪いところ」は?
・メリット
SUS304やSUS316のようにニッケルやモリブテンのような希少金属をしようしていないため価格が安い。
また、「加工性」に優れています。
・デメリット
耐食性が低いです。高温環境にも弱いです。
(あくまでこの中で低いだけであり、もっと耐食性の低いステンレスもあります。)
【用途】SUS430はどのようなところで使われるのか?
加工性にも優れてコストも安いので、SUS304の代わりとして使われることも多いです。
金属への環境負荷が低く、価格を抑えたい時に使用します。
まとめ(POINT)
3種類のステンレスをご紹介してきましたが、選定方法を簡単にまとめました。
~POINT~
・水には浸かるけども、比較的サビが出にくい環境で使用するとき。
(SUS304)
・海水などのサビがとても出やすい環境で使用するとき。
(SUS316)
・ステンレスを使用して、費用をできるだけ安く抑えたいとき。
または、厨房機器などでマグネットをくっつけたいとき。
(SUS430)
このように、同じステンレスでも使用する環境によって種類を選定する必要があります。
「価格よりも品質最優先だ!」というのであればSUS316で間違いないです。
しかし、現実は予算も限られていいるため必要十分な性能を持った素材を、
できるだけ価格を抑えて設計することが重要になります。