【発酵食品の基礎知識】「発酵と腐敗の違い」とは?

「発酵」についての基礎知識

健康志向や、腸内環境の改善効果で「発酵食品」が注目を集めています!
発酵食品は昔から味噌や醤油といった調味料から、日本酒やワインといったお酒、チーズやヨーグルトといった乳製品にいたるまで人々の食生活を豊かにしてきました。

そんな美味しい食品が作れる「発酵」のことをもっとよく知り、ご家庭でも実際に発酵食品を自作していきます。発酵食品の自作チャレンジ第1弾は「ぬか漬け」にチャレンジしています。(詳細はこちら↓)
自宅で簡単!「ぬか漬け」の作り方(自作チャレンジ)

まず、今回の記事では発酵食品を自作するため、「発酵食品の基礎知識」についてわかりやすくまとめていきます。

「発酵」とは何なのか?

そもそもそ「発酵」ってなんなのか?

「発酵」とは、食べ物などの有機物に細菌やカビ菌、酵母といった微生物が働いて人間にとって良い物質を作り出すことです。この発酵を食品で利用したものが「発酵食品」です。
発酵食品の大きな特徴としては下記の3つの要素があります。

①保存性が良い!

まだ、冷蔵庫のない時代から「発酵は食品を長期保存するための技術」として使われてきました。昔の人達にとって食品の保存は命にかかわる問題です。そのため、発酵という自然現象を長い年月をかけて観察し、実際に試すことで「発酵の食品保存効果を有効利用するための知識」を深めていきました。その結果として今も食卓で食べられる様々な発酵食品ができています。(納豆やクサヤのような明らかに腐っているような食品を初めて食べることにチャレンジした先人の勇気に感謝です!!)

(↑写真:藁入り納豆)

②栄養価が高く、健康に良い!

発酵食品を発酵させる微生物は多種多様であり、多量の栄養成分を発酵途中に生成して食品に蓄積してくれます。
例えば、「普通に煮た大豆」と「納豆」では納豆の方が圧倒的に栄養価が高くなります。また、お米を蒸して麹菌をつけた「米麹(こうじ)」は通常のお米と比較して格段に栄養価が高くなります。この米麹をで作った「甘酒」は滋養強壮に効果があり、江戸時代には夏バテ防止のために真夏の暑い時期に販売されていました。そのため、「あまざけ」は夏の季語にもなっています。(今はあったかい甘酒を冬に飲むイメージが強いですが!)

(↑写真:あまざけ)

③発酵食品特有の「風味」や「味」がでる!

発酵によって菌が食品中の「デンプンをブドウ糖に分解」したり、「タンパク質をやアミノ酸に分解」することによって「甘み」や「うま味」が急増します。さらに発酵の効果は「味」や「うま味」だけでなく発酵特有の香りも発生させます。この独特の香りによって食材を一段と味わい深くて美味しい食品へと進化させます!

(↑写真:日本酒)

「発酵食品」のQ&A

発酵食品についてさらに理解を深めるために下記では発酵についてQ&A(質問形式)で解説してきます。

「発酵する」と「腐る(腐敗)」の違いは何か?

「発酵する」のも「腐る(腐敗する・カビる)」のもどちらも微生物の働きによって起こります。しかし、なぜ同じ「微生物の働き」によって起こる現象が「発酵」と「腐敗」に分けられるのでしょうか?
この定義は意外と簡単です!人間にとって「有益であれば発酵」とよばれ、「有害であれば腐敗」です。つまり、この2つは「人間の主観によって線引きされている」のです。

例えば、牛乳を蓋の空いた状態で数日間放置すると、空気中から腐敗菌が混入して強烈な悪臭を放ちます。これを飲めば間違いなく下痢や嘔吐といった症状を引き起こして人間に害を与えます。そのためこの現象は「腐敗」です。
一方、腐敗菌ではなく乳酸菌を入れて数日間放置すると、牛乳は凝固してヨーグルトのような状態になります。これは乳酸菌が増えて牛乳の「保存性を高める」だけでなく、「風味も向上させる」といった人間にとって有益な効果を与えています。そのためこちらの現象は「発酵」となります。

(↑写真:ヨーグルト)

「発酵食品」って健康にいいってホント?

発酵食品を摂取すると微生物そのものを体内に取り入れることになり、人間にとって有益にな菌達の効果を得ることができます。例えば、ヨーグルトの乳酸菌や納豆の納豆菌といった菌は腸内の環境を整えて便秘改善効果や美肌効果があります。まさに、発酵食品は自然の力で健康を改善することのできるため下手なサプリメントなんかよりもよっぽど健康によいのです。

「発酵食品」ってどんなものがあるの?

日本は発酵食品大国で日常的に発酵食品を食べています。挙げるときりがないほどですが、味噌、醤油、酢といった基本的な調味料や納豆、鰹節、バター、チーズ、ヨーグルト、パン、ぬか漬け、日本酒、甘酒、ビール、ワイン。。。。といった食品もすべて発酵食品です。

(↑写真:様々な発酵食品)

発酵食品の作り方は?発酵食品を作るのは難しいのか?

発酵食品は身近であり、簡単に自作することもできます!
後日、「納豆」や「ぬか漬け」等さまざまな発酵食品の自作にチャレンジして記事にしていきます。

発酵細菌の食品以外の活躍の場は?

発酵の効果は「発酵食品」だけではありません。菌の働きによって抗生物質等の薬ができていますし、生ごみを発酵させて堆肥にしてしまう効果もあります。さらには、今後のエネルギー問題を解決策になる可能性のある「水素を生成する微生物」なんかも出てきており、活躍の場は多岐にわたります!!

まとめ

菌(微生物)によって作られる発酵食品には乳製品(ヨーグルトやチーズ)、野菜(漬物)、水産食品(くさや、塩辛、鮒ずし、粕漬)、お酒(日本酒、ワイン、ビール)、調味料(醤油、味噌、酢)と数えきれない程身近にあり、私たちの食を豊かにしています。
そして、これらの微生物は生態系の循環においては「分解者」として活躍しており、自然界でとても重要な役割を占めています。私達人間はこれからもっともっと菌のことを良く知り、活用し、うまく共存していく必要があります。

参考書籍:
・栄養学の最高権威が教える「賢い食べ方」女子栄養大学の発酵食のすべて
女子栄養大学副学長 五明 紀春 監修
古川 知子 レシピ監修
・発酵食品礼讃 小泉 武夫 著
・菌が地球を救う!あなたのまわりの発酵菌が人を幸せにする
小泉 武夫 著
・人体常在菌のはなし 美人は菌でつくられる
青木 皐 著

~おすすめ書籍~
・女子栄養大学の発酵食のすべて

内容:
発酵食品の「基礎知識」から「様々な発酵食品を自作する方法」までイラストや写真ですごくわかりやすく解説されています。また、女子大ならではの発酵食品の「健康メリット」や「日常の摂取方法」まで詳しく書かれています。発酵についての勉強と実践をするには必須の一冊です。

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