「栽培漁業」と「養殖漁業」の違いとは?

「栽培漁業」と「養殖漁業」は何が違うのか?

水産業界では、普段の生活では使わない専門用語が多くでてきます。
今回は「栽培漁業」「養殖漁業」とそれに関連するキーワードについてご紹介していきます。

「漁業」について

一般的に「漁業」というと、川や海へ漁にでて水産物を獲ってくることを意味します。
そのため、一般的な漁業は「とる漁業」といわれます。
昔の漁業は川や沼、海岸付近でしか漁をすることができませんでした。しかし、今は船舶技術の向上により、近海での漁業だけでなく遠洋まで世界中すべての海での漁をすることが可能になりました。さらに、漁具も進化して効率のよい漁をすることができるようになり、好きなだけ水産資源を獲ることができる時代がありました。

しかし、近年は無限のようにあると考えられていた海洋資源が有限であると認識されるようになりました。そのため、「とる漁業」だけでなく、水産資源を有効活用しようと「つくる漁業」が急速に発展しました。

「栽培漁業」と「養殖漁業」の違いとは?

「栽培漁業」「養殖漁業」はどちらとも「つくる漁業」です。
では、この2つの漁業はどう違うのでしょうか?

「栽培漁業」とは?

「栽培漁業(英語ではsea framing)」は人工的に大量の種苗(卵から稚魚になったばかりの状態)の生産をして、この種苗を一定期間「中間育成※」して川や海へ「放流・移植※」します。放流後は自然の力を利用し、大きく育って帰ってきた水産物を漁獲するという流れの漁業方法です。

※「中間育成」とは?
種苗の時期は抵抗力が弱く、放流や養殖をしても多くの生体が死んでしまいます。そのため、ある程度の抵抗力がついて放流できるサイズまで成長させることを「中間育成」と言います。例えば真鯛だと3cm~10cmくらいまで、クルマエビやバナメイエビでは3~5cmくらいまで育成します。

※「放流・移植」の違いとは?
「放流」
とは栽培漁業で「以前から分布する水産資源」の維持・増加をするために川や海に放つことです。
「移植」とは「以前には分布していなかった有用生物」、または「他の水域からのもってきた種苗」を放つことです。
また、「移植」でも「外国種を移植すること」「移入」といいます。

「養殖漁業」とは?

「養殖(英語ではaquaculture)」は養殖者が所有している魚介類を水槽いけすの中で育成管理を行い、それらの生産物を商品となるサイズまで大きくして漁獲する方法です。
養殖で生産される生産物は食用や観賞用として販売されます。そして、養殖業者はそこで得た利益で事業を運営しないといけないため、選択する魚種は市場価値の高い高価格な魚種を選ぶ必要があります。

(↑写真:牡蠣の養殖場)

まとめ

「栽培漁業」「養殖漁業」の違いを簡単に言ってしまうと、「栽培漁業」は生産した種苗をある程度のサイズになったら放流するスタイルの漁業で、「養殖漁業」はきちんと製品サイズとなる大きなサイズになるまで育成して収穫するスタイルの漁業です。

栽培漁業でも養殖でもどちらも種苗生産の技術が肝になります。日本では様々な魚種の種苗の研究は「独立行政法人水産総合研究センター」の各海区の水産研究所、および増養殖研究所がおこなっております。

参考書籍:
・改訂水産海洋ハンドブック 生物研究社
・高等学校用 資源増殖

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