「オランダの農業」と「日本の農業」の違いを徹底比較!日本ではオランダ型の農業は向いてない!?

オランダの農業・植物工場

「オランダの農業」と「日本の農業」は何が違うのか?

なぜ、オランダの農業が注目されているのか?

オランダは「農作物・食料品輸出額の国別ランキング世界第2位」の国です!!
ランキングの1位がアメリカ、2位がオランダ、3位がドイツです。
(日本は55位です)

オランダの農業が注目される理由は輸出額だけではありません。
特に注目すべきは「国土が狭く、人口も少ないのに農業大国になっている」という点です。
国土は日本の約9分の1程度(九州と同じくらい)しかなく、人口も日本の約7分の1程度です。

今回は、国土も人口も少ない国にも関わらず、農作物・食料品の輸出金額世界2位に君臨するオランダと日本をわかりやすく比較していきます。

そのうえで、「日本が学ぶべきこと」「日本の農業の今後のビジョン」を明確にしていきます!
オランダ

オランダと日本の「違い」はなにか?比較してみました!

オランダと日本の違いを比較すると下記の通りです。
比較して数値が大きい国名は、数値が小さい国名はしてます。
(少々ざっくりな数値ですが。。)

国土の面積
オランダ:4万2510平方キロメートル
日本:37万8000平方キロメートル
オランダの土地面積は日本の9分の1程度。

国の人口
オランダ:1708万人
日本:1億2700万人
オランダの人口は日本の約7分の1程度。

国別の農産物・食料品の「輸出額」ランキング(2013年のデータ)
オランダ:2位(9億3321万ドル)
日本:55位(4618万ドル)
農業大国のアメリがぶっちぎり(14億1808万ドル)で、オランダは2位になっています。
3位以降はドイツ、ブラジル、フランス、中国といった国土が広い国であるがオランダだけは異質です。

国別の農産物・食料品「生産額」ランキング(2013年のデータ)
オランダ:39位(1512万ドル)
日本:9位(5768万ドル)
生産額は中国が圧倒的な1位(9億1929万ドル)です。
日本は生産額ではオランダに勝っており、少なくはありません。
日本の農地面積はオランダの20倍もあり、農業就業人数もオランダの20倍もいます。

しかし、オランダと日本では圧倒的に「農家1人当たりの生産性」が違います。
オランダの農業就業人口1人当たりの生産額は「日本の約14倍」も高いのです。
オランダ 花

オランダ型農業のメリット(長所)とは?

・徹底的な効率化によって、農業で外貨を稼ぐことができる。
農業就農人口あたりの生産額がオランダは日本の14倍です。
オランダは小さい農地を効率良く使い、生産効率が圧倒的農業を実現しています。
また、栽培する品種も効率化に特化した品種に絞って生産しています。

・太陽光型の施設園芸が中心の近代化された農業
ガラスハウスなどで、温度(気温)、湿度、養分などをコンピューター管理している施設が多くあります。
農業の経営規模を大きくして、オートメーション化して人件費も削減し、最大限効率化。
こうした管理をすることで、EUの中での厳しい価格競争にも勝っていける競争力があります。

オランダ型農業のデメリット(短所)とは?

・農作物の多様性がなくなる。
オランダの農業は効率化を最大限にするため、農作物の種類が少なく多様性がなくなります。
つまり、食文化としてのバラエティー豊かな食材の楽しみがなくっていきます。

・多様性をなくすと、持続可能な食料生産になならない。
効率化のために、多様性をなくすと短期的には良いかもしれませんが持続可能な食料生産は難しくなります。
単一種の大量生産はいずれ限界が訪れます。

オランダの農業から日本がマネすべきこととは?

オランダの農業から日本が学びマネるべき項目は多くあります。

・産官学の積極的な農業への取り組み。
オランダ国内には「グリーンポート」と呼ばれる園芸生産者、研究機関、コンサルティング会社、商社などの関連企業を集めた特別な区域を6か所も持っています。
ここでは、農業の競争力を高めるための品種改良等の研究開発や農業経営者を育てる教育までトータルして行われます。また、民間の農業コンサルタントが介在し、栽培システムやマーケティングまで指導をしています。
一方、日本は個人経営の高齢化したおじいちゃん、おばあちゃんの勘と経験に頼る農業になってしまっています。
儲かる農業として日本の農業を復活させるためには日本にも「グリーンポート」のような取り組みが必要です。

・高付加価値の農作物を戦略的に作る。
輸出に適した高付加価値の農作物を徹底的に作る!この考え方は日本の農家も学ぶ必要があります。
(しかし、オランダはこの戦略に特化し過ぎている部分もあります。穀物をほとんど作らずに、付加価値型の農作物に特化し過ぎて自給することに対しては放棄しています。そのため、日本ではこれらのバランスを考える必要があります。)

オランダの農業をそのまま「マネできない理由」とは?

・地理的な条件
オランダは広大なユーラシア大陸の一部であり、隣国と陸地で繋がっています。
そのため、「輸出」と言っても陸路を使ってトラックで簡単に出荷することができます。
葉物やトマトだって鮮度が高いまま、必要な分をすぐに供給できるのです。
一方、日本は海の上に浮かぶ島国です。
島国である日本は空輸したり、船で運ばなければならいためコストや時間がかかる。
そのため、日本がオランダのように輸出特化型のトマトを大量に植物工場で大量に生産してもうまくいきません。

・輸出の際の関税
オランダは欧州連合(EU)に加盟しており、通貨も共通のユーロになっているため関税もかかりません。
日本が輸出するのとは前提条件が違います。

・エネルギーの問題
オランダのような施設園芸で室温をコントロールするとなると多くのエネルギーが必要です。しかし、オランダは欧州でも有数の天然ガス産出国です。そのため、安価な天然ガスが豊富にあり、加温設備を必要とする施設園芸のようなスタイルの農業にはピッタリな国なのです。

このオランダの施設園芸スタイルを日本がそのままマネをするとどうなるでしょうか?
高価な石油や石炭を使用して加温することで、多くのコストが発生します。
さらに、輸送コストや関税まで乗っかってきたら原価が高くなりすぎます。
そのため、オランダをそのままパクった施設園芸では「輸出品」として世界で戦ってはいけません。

まとめ

オランダの農業は効率良く輸出するために栽培する作物の種類を絞り、農業ICTやIOTの技術を取り入れてカッコいい農業を実践しています。そのため、日本人はすぐにオランダの農業を全部マネようと考えます。。。

しかし、オランダの農業と日本の農業は比較してみてわかるように、前提条件が全然違います。
(オランダの輸出額だけ見てもダメです)

農業は工業製品と違い、工場を移設すれば同じモノが生産できるわけではありません。
また、無理に同じものを作り、輸送しようとすると「生産コスト」ばかりがどんどん高くなってしまいます。農業・養殖での食料生産では自然を考慮せず「無理に作る・無理に運ぶ」ことは失敗の原因となります。
(食料は安全・安心で価格も適正でなければならないからです。)

そのため、日本はオランダ型農業のいい点はマネして、日本型に改良して使わなければなりません。
それに加え、まずは「日本の農業をどのような農業に変えていくべきか?」という明確なビジョンが必要です。
(効率化を重視して、品種を絞り込みまくるのか?日本の食の多様性を保っていけるような未来にするのか?など)

私は、日本が目指すべき農業の形は「オランダ型」ではなく「キューバ型」の方が断然向いていると考えています。
キューバ型とは「自然の力を最大限活用して、安心・安全・安価な食料を地産地消させて循環させるタイプ」の農業でです。
※キューバの農業についての詳細はこちら
キューバの有機農業が日本の農業復活のカギになる!?

この先、少子高齢化で農業人口もどんどん減っていく中で日本の1次産業の衰退を指をくわえてただ待っていてはダメです!安心・安全な持続可能な食料生産を可能にするためビジョンを明確にして立ち上がり、今までの既存のシステムをぶち壊していかなければならない時が来ているのではないでしょうか?

参考書籍
・島耕作の農業論
 弘兼 憲史 著

~おすすめ書籍~
・島耕作の農業論 弘兼 憲史 著
内容:週刊モーニングで連載されている「会長島耕作」の原作者が書いた本です。島耕作とは松下電器をモデルとした会社で課長、部長、取締役、常務、専務、社長、会長へと出世していくストーリーです。
そして、会長になった島耕作では農業がテーマになっています。その島耕作の原作者が、サントリーの新浪社長や「キレイごとぬき農業論」の著者である久松氏との対談を通して日本の農業の現状をわかりやすく解説しています。また、オランダの農業や近代マグロなどの最新情報も書かれており、農業・養殖についての入門書としてもオススメの一冊です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です