☆水質管理☆「アルカリ度」について

循環式養殖(アクアリウム含む)の「水質管理」シリーズ⑦
循環式養殖についての記事はこちら(循環式養殖の水質管理

「アルカリ度」について

アルカリ度」は水産養殖やアクアリウムの水質管理において重要な指標です。
アルカリ度は水槽内のpHを安定させるとともに、ろ材を立ち上げる際に不可欠です。
今回はこのアルカリ度について解説していきます。

「アルカリ度」とは?

「アルカリ度」とは水中のアルカリ成分(炭酸イオン(CO32-)、炭酸水素イオン(HCO3)等)の総量を表した数値です。アルカリ成分である炭酸塩や炭酸水素塩は水素イオン(H+)と結合する性質を持っています。

水素イオン(H+) + 炭酸イオン(CO32-) → 炭酸水素イオン(HCO3

水素イオン(H+) + 炭酸水素イオン(HCO3) → 炭酸(H2CO3

「アルカリ度」の効果と役割

アルカリ度を維持することによる効果は大きく分けて2つあります。

①急激なpHの低下を抑える。

養殖やアクアリウムでは水槽内のアンモニアが亜硝酸に硝化(分解)される際に水素イオン(H+)を発生します。
詳しくは窒素循環のこちらの記事を参照ください(窒素循環について)。

窒素循環を繰り返すことによって、育成水は急激なpHの低下(水の酸性化)を引き起こします。(急激なpHの低下は水生生物の健康状態に大きな影響を与えます。)
しかし、アルカリ度が高いと水中の水素イオン(H+)を炭酸水素イオンや炭酸イオンが結合して消費してしまうため、水素イオン(H+)の急増によるpHの低下を抑えることができるのです。このことを、pHの「緩衝作用」と言います。

②アンモニア硝化細菌の炭素源を生成する。

アンモニアを硝化する硝化細菌は酸素の他に細胞の成長に必要となる炭素源として「炭酸水素イオン(HCO3-)」を必要とします。
アルカリ度はこの炭酸水素イオンの供給量を表しており、濾過槽の硝化菌の活性を高めるためには必要不可欠です。

アルカリ度の測定方法

水産養殖やアクアリウムでのアルカリ度測定を簡易的に行うためにはパックテストがオススメです。

パックテストは試薬は難しい滴定作業などは必要なく、専用のパックで水を吸い込み、パックの中の水の色と標準色の表を比較することで簡単に測定することができます。

詳しく数値でアルカリ度を測定したい場合はドロップテストがオススメです。
(プロ仕様はこちらです。)

アルカリ度は測定方法(指示薬の違い)によって「Mアルカリ度」と「Pアルカリ度」がありますが、養殖やアクアリウムでは「Mアルカリ度」で測定します。

「Mアルカリ度」と「Pアルカリ度」の違い

養殖やアクアリウムでは「Mアルカリ度」を使用して測定すれば大丈夫なのですが「Pアルカリ度」との違いが気になる方のための補足です。気にならない方は飛ばして読み進めてください。

アルカリ度の測定ではアルカリ成分(炭酸イオンや炭酸水素イオン等)を強酸溶液を滴定し、中和させることでアルカリ度を測定します。中和するpHの終点は指示薬の違いによって異なるため、「Mアルカリ度」と「Pアルカリ度」があります。

「Pアルカリ度」とは

指示薬:フェノールフタレイン(PP)
終点のpH:8.3
説明:Pアルカリ度のPは指示薬のフェノールフタレイン(Phenolphthalein)の頭文字です。この指示薬はpHの高い(強アルカリ性)の水に強酸溶液を滴定し、pHが8.3になったときに試薬がピンクから無色に変わります。つまり、調べたい水のpHが8.3より高い場合にしか使えません。

「Mアルカリ度」とは

指示薬:メチルレッド-ブロムクレゾールグリーン(MR-BCG)
終点のpH:4.8
説明:Mアルカリ度のMは指示薬のメチルレッド(Methylred)の頭文字です。この試薬は中性付近の水を強酸溶液で滴定し、pHが4.8になったときに試薬が薄青色あらピンク色に変わります。養殖やアクアリウムでの飼育水のpHは7~8であるため、アルカリ度の測定は「Mアルカリ度」で行います。

養殖やアクアリウムでの「アルカリ度」の管理方法

循環式養殖で濾過槽をきちんと機能させるためにはアルカリ度は最低50以上は必要です。(これを下回ると硝化菌の能力が大きく低下します。)
アルカリ度を簡単に上げる方法は重曹(炭酸水素ナトリウムNaHCO3)の添加です。
重曹は入手もしやすく、即効性があります。さらにアルカリ度だけでなく、育成水中のpHもあげるため循環式の養殖やアクアリウムには最適です。

即効性は低いですが徐々にアルカリ度を上げる場合は、濾過槽に牡蠣殻や卵の殻などを入れることによってもアルカリ度を引き上げることができます。

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