お米の「種類」と「品種」の違いとは?

「お米」の種類と品種について

私たち日本人は「お米」を主食として生きています。
毎日食べているお米ですが、そのお米はどのような稲の品種で、どのような種類のお米かを知らないで食べている方も多いのではないでしょうか?
今回は稲の品種お米の種類お米の化学的な構造についてもご紹介していきます。

稲の品種はどのような品種があるのか?

お米は稲から生産されます。稲の種類が違うとお米の特徴も変わってきます。
世界でさ栽培される稲の品種は大きく分けて「ジャポニカ米」、「インディカ米」、「ジャバニカ米」の3種類のお米があります。下記に特徴をまとめました。

・ジャポニカ米

ジャポニカ米」は日本をはじめ東アジアを中心にに栽培されています。米粒は一般的に丸みを帯びた形をしており、日本で食べられているのはこの品種のお米です。しかし、世界のコメ生産量のうちジャポニカ米の割合は15%程度であり世界全体の生産量から見るとマイナーなお米となります。
気候は比較的寒い地域でも栽培可能で、昼と夜の寒暖差が大きい地域で美味しいお米になります。

・インディカ米

インディカ米」は南アジアを中心にさいばいされています。米粒が一般的に細長く粘り気の少ないのが特徴です。世界で生産されているお米の80%以上はこのお米です。気候は気温の高い熱帯の地域に適しています。

・ジャバニカ米

ジャバニカ米」はインド根下のジャワ島などのアジアの熱帯地域を中心に栽培されているお米です。米粒は幅が広く大きいものが多く、遺伝子的にはジャポニカ米と系統が近いです。

お米の構造はどうなっているのか?

お米のデンプンの中には「アミロース」と「アミロペクチン」という2種類の成分が含まれており、この成分の比率がお米の粘りと硬さを決めています。「アミロース」が多いとぱさぱさとした粘りの弱い食感になり、「アミロペクチン」が多いと粘りが強くなります。「アミロース」も「アミロペクチン」も「グルコース」と呼ばれる糖の分子が多数繋がった構造をしています。「アミロース」は直鎖の構造で粘りが少なく、「アミロペクチン」は枝分かれが多い構造で粘りが多くなります。

↑イメージ:「アミロース」と「アミロペクチン」の構造)

「うるち米」と「もち米」の違いとは?

うるち米(普通のお米)」と「もち米」は粘りの強さが全然違いますが、その違いは「うるち米」の組成が「アミロペクチン約85%~90%、アミロース約15~10%」であるのに対して「もち米」の組成は「アミロペクチン100%」であるため食感が大きく異なります。

炊飯によってお米の構造はどう変わるのか?

ご飯を炊く」という調理はお米の主成分である「β(ベータ)デンプン」を「α(アルファ)デンプン」に変えるために行います。「α(アルファ)デンプン」に変えることでお米はふっくらとやわらかい食感になります。さらに、美味しくなるだけでなく消化吸収もしやすくなり、私たち人間の効率の良いエネルギー源になります。

・お米の「α(アルファ)化」について
もともと生のお米のデンプンは「β(ベータ)デンプン」というアミロースとアミロペクチンが「水素結合」で強固に結びついた形をしているため小さく、硬い米粒になっています。しかし、「β(ベータ)デンプン」は水と熱が加わると、水素結合が切れてその間に水分子が入り込むためお米がふっくら膨らみ、やわらかくなります。この変化をお米の「α(アルファ)化」といいます。

1度炊いたお米が冷めるとα(アルファ)化したデンプンが再び水素結合が復活することによってβ(ベータ)化します。この反応をお米の「老化」と言います。お米の保管温度が4℃程度の時が一番「老化」が早まります。そのため、一度炊いて残ったお米は冷蔵庫ではなく、冷凍庫で一気に凍らしてしまった方が食感や美味しさをそのままに保管することができます。

まとめと補足

私たちの食べているお米は「ジャポニカ米」ですが、日本国内ではその中でさらに土地や好みに合わせて多くの品種の稲の品種改良をしてきた歴史があります。現在食べているお米の品種は冷害等の自然災害に対しての対抗策であり、おいしさを探求してきた結果なのです。日本で一番有名な「コシヒカリ」をはじめ、「ひとめぼれ」や「ヒノヒカリ」などの品種は長い歴史の中で生き残ってきたエリート品種なのです。また、近年では北海道の「ゆめぴりか」や新潟県の「新之助」といった新しいブランド米も次々に生まれてきています。
普段何気なく食べているお米ですが、こういった品種や歴史について理解して食べるとお米のおいしさやありがたみも一段と感慨深いものとなります。

お米の美味しい炊き方」についてはこちらの記事に記載しています。
お米を美味しく炊くコツについて

参考書籍
・ニュートン 食品の化学知識
・日本人の味覚は世界一 鈴木 隆一 著

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