「サーキュラー・エコノミー」とは?

「サーキュラー・エコノミー」とは?

循環型の考え方が「生態系」の概念にとどまらず、「経済」概念として「サーキュラー・エコノミー(循環型経済)」という新しい言葉が出てきました。
10月号のNews weekにも特集が組まれており、そこから引用すると

サーキュラー・エコノミーとは
従来の大量生産、大量消費の「作って、売って、使って、廃棄する」直線型に対し、「作って、売って、使って、使い続ける」循環型の経済。あくまで儲かるビジネスを目指す革新的概念!となっています。

「理想」と「利益」を追求する循環型社会

「サーキュラー・エコノミー」のすごいところは理想論だけではなく、「儲かるビジネス」を目指していることが素晴らしいところです。

今までもサスティナブル(持続可能)な環境保護のためにと「理想」を掲げ「リデュース(ごみを減らし)」「リユース(再使用)」「リサイクル(再生利用)」の「3R」を呼び掛けてきました。しかし、ただ呼びかけるだけでは「大量生産」「大量廃棄」の使い捨ての流れは止められません。

サーキュラー・エコノミーは「リデュース」と「リユース」はもちろんですが、「リサイクル」を「アップサイクル」に変えて儲かる循環を作り、この流れを止めようとする試みなのです。

「アップサイクル」とは?

「アップサイクル」とは「リサイクル」の進化バージョンです

「リサイクル」とは?

「リサイクル」はすでに当たり前に使われる言葉になっています。
「リサイクル」とは再循環、つまり不用品や廃棄物を再利用してもう一度使うのがリサイクルです。
具体的にはペットボトルやビン、紙などを回収し、元に戻して再度利用するのがリサイクルです。
現状は同じ製品を作る場合、リサイクルをするよりも、新しい原料から製品を作ってしまった方が安上がりであるため何とか義務化して取り組みを進めているような状況です。

「アップサイクル」とは?

一方、「アップサイクル」とは再利用ではなく、不用品や廃棄物から元の製品よりも付加価値の高いモノを生み出すのが「アップサイクル」です。近年アップサイクルの具体的な成功例が続々と出てきています。
例えば、残り物のパンでビールを作り付加価値をつけて販売したり、使われなくなった消火ホースをバックや財布に加工しブランド化して販売したり、トマトの廃棄物を電力に変えてしまう取り組みまで出てきています。
これらの取り組みは「義務だからやる」のではなく、「儲かるからやる」ためリサイクル以上に爆発的に広がる可能性を秘めています。

農業・養殖ビジネスにおける「サーキュラー・エコノミー」

新しく農業や養殖ビジネスに参入する人達の中には「自然環境に配慮し、安心・安全な食べ物を生産したい!」といった大きな「理想」を持って参入される方が多いのではないでしょうか?
この「理想」は農業・養殖をやる上では非常に大事であることは間違いありません。
しかし、この理想を実現するためには「儲からなければ続かない」、つまり「利益」がでなければなりません。

農業・養殖を儲かるビジネスにしなければこれらの「理想」は実現せずに終わってしまいます。そうならないためにも、「サーキュラーエコノミー」のような考え方を農業・養殖にもどんどん取り込んでいく必要があると感じています。

具体的には米作りで不要になっている「米ぬか」や「もみ殻」を田んぼに戻してリサイクルするのではなく、付加価値をつけて販売し「アップサイクル」に転換する。
また、養殖場から排出される「食べ残しの餌」や「糞などの有機物」を肥料に変える、もしくはそれらを養分にして付加価値の高い植物を育てる等、儲かる循環型のビジネスパッケージを新しく作っていくことが重要です。

農業・養殖は工業製品以上に生き物の生態系と直に繋がっているため、地球環境を守る循環型社会をつくるのに一番力を発揮できる産業なのです。

~参考書籍~
週刊ニューズウィーク〈2018年10月16日号〉

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