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「培養肉(クリーンミート)」と「代替肉(フェイクミート)」はどう違うのか?
最新技術の進歩によって、牛肉や鶏肉といった通常の畜産業によって生産される肉だけでなく、「培養肉」や「代替肉」といった次世代のお肉が登場してきています。
しかし、それらの肉には「培養肉」、「代替肉」、「クリーンミート」、「フェイクミート」など聞きなれない名前がたくさん付けられており、混乱している方も多いのではないでしょうか?
今回の記事ではこれらの次世代のお肉についてご紹介していきます。
結論:「培養肉」と「代替肉」の違い!!
「培養肉」とは細胞培養技術を使い、食用の肉を人工培養することによってできたお肉です。そのため、この肉は動物を飼育して殺すことなく生産できることから「クリーンミート」とも呼ばれています。
「代替肉」とは植物たんぱく質で作られた肉もどきであり、培養肉とは違い本当のお肉ではありません。そのため、代替肉は「フェイクミート」とも呼ばれています。
~違いのポイント~
・「培養肉」=「クリーンミート」=人工培養した肉
・「代替肉」=「フェイクミート」=植物で作った肉
下記では「培養肉」と「代替肉」について詳しく説明していきます。
培養肉(クリーンミート)とは?
「培養肉」とはどんなお肉か?
「培養肉」とはその名の通り生体から取り出した細胞を容器内で培養することによって作られるお肉です。近年では、再生医療のための細胞培養の技術が進歩したことで、食用の肉への応用も実現する可能性が出てきています。
具体例としては、東京大学と日清食品ホールディングスが「培養ステーキ肉」を開発しています。(未来のカップヌードルの肉は培養肉になってしまうのか?)この肉は牛から筋肉の細胞を採取して、コラーゲンと混ぜて培養液に浸すことで作られるとのことです。
また、米国やイスラエルには様々な動物の細胞を培養して食用の肉を作ろうとしている企業も出てきています。
「培養肉」のメリットとは?
「培養肉(クリーンミート)」を食用の肉として使用することには下記のようなメリットがあります。
・家畜の生産に必要な飼料(多量の穀物)が必要ない。
・蓄養のための広い土地が必要ない。
・肉を生産するための水の消費量が少なくて済む。
例えば、牛肉を1kg 作るためには20,600Lの水が必要であり、鶏肉でも4,500Lの水が必要と言わてています。
(バーチャルウォーターの計算に環境省のHPで計算できます→環境省仮想水計算)
また、畜産物を殺さないで済むことから培養肉が「クリーンミート」と呼ばれるように、動物愛護の観点からもこの肉を使用するメリットがあります。
「培養肉」の問題点とは?
「培養肉(クリーンミート)」の問題点は下記のような問題点があります。
・技術的に食用の大きな塊の肉を作ることが難しい。
・まだ、食品として安全なのかわからない。
・感情的に培養した肉を消費者は食べたいと思わない。
「培養肉」の技術的な問題や安全面の問題は今後研究開発が進むことで解決されてくると思います。
ですが、「培養肉」が量産できるようになったからと言って、消費者が感情的に培養肉を受け入れられるのか?といった問題は残ります。。
代替肉(フェイクミート)とは?
「フェイクミート」とはどんな肉か?
「フェイクミート」とは植物性のタンパク質で作られた人工肉です。
培養肉は動物性のたんぱく質を作り出していますが、フェイクミートは植物性という点が大きく違います。
例えば、フェイクミートの原料としてはタンパク質が豊富な大豆がよく使われており、日本でも「畑のお肉」や「大豆のお肉」として製品化されて販売されています。
「フェイクミート」の利点(メリット)とは?
「フェイクミート」のメリットは高たんぱく質で低カロリー、低コレステロールといった栄養面のメリットや、培養肉と同じように動物を殺さないといったメリットもあります。(こちらは本当のお肉ではないですが。)
また、フェイクミートは肉を食べないヴィーガンやベジタリアンの方達も食べることができます。すでに海外ではフェイクミートを使用したハンバーガーショップなども出てきて人気を集めています。
「フェイクミート」の課題とは?
まだ、現状のフェイクミートは下記のような課題があります。
・普通のお肉と比べてしまうと美味しくない。
・植物由来であっても添加している物質の安全性の問題。
・本物の肉よりコストが高い。
例えば、肉の香りや肉汁を再現するために大豆たんぱく質から遺伝子を酵母に注入したheme(ヘム)という分子が開発され、フェイクミートに使用されています。このヘムは植物由来であっても遺伝子組み換え原料であり、本当に安全であると言えないといった問題も出てきています。
今後の展開予想!!
「代替肉(フェイクミート)」については味の改善やコスト削減、安全性の確認によって、ますます活用の場面が増えてくると考えています。特にヴィーガンやベジタリアンの方にとってはなくてはならない食材となっていきそうです。
「培養肉(クリーンミート)」についても技術革新が進み、味の改善や生産コストも劇的に落ちる時が来ると思います。そして、動物愛護などの観点からもどんどん需要が伸びてくる可能性がある。
しかし、培養肉はいくらクリーンミートと言ってもやはり安全面や感情面ですんなりと受け入れることはできない消費者も多いのではないでしょうか?いずれは、感情面の問題が解決され、安心して口にできるようになる日も来ると思いますが。。。(安心という感情面だけでなく、本当に「安全な食品」か?という検証も絶対に必要です。)
そのうえで、私はこの「培養肉(クリーンミート)」の低コスト化が進めば、魚の培養肉を使って「魚粉」を作ることで養殖の餌に活用できるのではないかと期待しています。
マグロ・サーモン・エビなどの養殖は畜産のように植物性たんぱく質から肉を生み出すことができません。養殖では必ず、餌となる魚(魚分の原料)を獲ってこなければならないのです。(詳しくはこちら↓)
「養殖業」が「畜産業」ほど発展しない理由
培養肉の安全が確保されて、感情面の課題を解決するためには「養殖業」を一度間に入れることで解決していけると考えます。
そうすることで、「本当に持続可能な養殖業」にも一歩近づけるのではないでしょうか?
~おすすめ書籍~
・クリーンミート 培養肉が世界を変える
ポール・シャピロ(著)
タイトル通り、「クリーンミート(培養肉)」についての新しい書籍です。
培養肉は新しいビジネスとしてだけでなく世界を救う食料生産の新しいカタチとしても世界中で注目度が高まっています。
今後も培養肉についての最新情報は要チェックや!!