【水道水の作り方】水道水はどのように作られているのか?「急速ろ過」と「緩速ろ過」の違いとは?

水道水はどのように作られているのか?

「植物工場」や「陸上養殖」といった最新技術が、「安心・安全でおいしい食品」をつくるという本来の目的を忘れ、「機械屋が利益を出す」ことに目的が変わってしまう危険性を「日本の浄水場の現状」を例にご説明しました。
(リンクはこちら新技術の導入が食の「安心・安全」を脅かす?

農業も養殖も水がなければ成り立ちません。水はすべての基本となります。
前回、詳しく説明しきれなかった水道水の水処理について、詳しくご紹介いたします。

「急速ろ過」と「緩速ろ過」の違い。

日本の水道水は主に「急速ろ過」、「緩速ろ過」、「その他のろ過」の3種類の方法で作られています。
それぞれの特徴と方法をご説明していきます。

・「急速ろ過」処理

~特徴と方法~
原水の濁りや溶けている物質を凝集剤で凝集、沈殿させます。
上澄みをろ過池の砂の層に通し、1日に120m~150mの速度で通水させ水をきれいにします。
この速度が速いことから「急速ろ過」と言われています。
ろ過速度が速いため、濾過槽はすぐに目詰まりし、ポンプで水を逆流させて詰まったものを除きます。この時に細菌やカビも流出てしまうため、これらを殺すために塩素をと投入します。
ですが、薬剤に反応しない臭い物質は残ってしまします。
近年ではさらに、高価な活性炭やオゾン等を導入して解決しています。

日本の普及率:75%

~メリット~
狭い土地で浄水場が作れる。

~デメリット~
凝集剤、塩素といった薬品が多量に使われる。
塩素は水中の有機物と反応して発がん性の物質であるトリハロメタンを生成する危険性がある。建設コスト、ランニングコストも高く水道代が高くなる。

図:「急速濾過処理」のイメージ図

・「緩速ろ過」処理

~特徴と方法~

自然の多様な微生物による浄化力を利用したろ過方法です。
ろ過池の構造は、水泳のプールのような池に砂を敷き詰め、原水を1日4~5mという緩やかな速度で水を通過させるだけのシンプルなシステムです。
水の速度が緩やかなことから「緩速ろ過」と言われています。
砂の表面には微生物や藻類が活躍し、細菌やカビも完全に除去できます。
逆洗浄は行いません。
その代わり、目詰まりを防ぐため、20~40日に一度の頻度で生物ろ過池の砂層表面を1cmほど削り取ります。

日本の普及率:5%

~メリット~
多様な微生物によって臭いの成分やカビまで除去できる。
塩素のいらないおいしい水ができる。
イニシャル(機械、工場建設費)とランニング(薬剤費等)のコストが安い。

~デメリット~
広い土地を必要とする。

図:「緩速濾過処理」のイメージ図

・「その他」の方法

~特徴と方法~
地下水などを塩素で単に消毒するだけで給水してる水道水。

日本の普及率:20%

まとめ

「急速ろ過」と「緩速ろ過」はともにメリットデメリットがあります。
一つの方法に固執するのではなく、両方のメリットを最大限できる方法を考えていかなければなりまん。

現状の「陸上養殖技術」も、濾過方法は「急速ろ過」のシステムになっています。
土地面積を最小限にして養殖をしないといけないため、こちらの技術の採用となります。
しかし、今後は「急速ろ過」に「緩速ろ過の生物の働き」を最大限に取り込んだ新しいシステムの開発が必要であると思います。

大切な水資源を守るため。
「自然にやさしい水処理のビジネス」はもっと注目されるべきです。

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