水産業界において「サスティナビリティー(持続可能性)」が重要視されはじめています。
ですが、私達消費者は販売されている水産物がどれだけ持続可能性があるモノなのかを知ることができません。
そこで、生産者が「きちんと環境に配慮して生産した商品ですよ」と証明するため「水産エコラベル」の普及が進んできています。
スーパーの鮮魚コーナーで買い物をしていると「MSC認証」や「ASC認証」のシールが貼ってある商品がこれです。
一人の消費者としてはどのラベルがついていても、「このお刺し身は環境に配慮して生産された魚なんだろうな〜」くらいの認識で買い物されているのではないでしょうか?
この記事ではそんな水産エコラベルの「種類」についてわかりやすく解説していきます。
目次
「水産エコラベル」にはどんな「種類」があるのか?
「MSC」認証とは?
ASC認証とは、「Marine Stewardship Council」の略です。
水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な「漁業」に関する認証です。
この認証を取得するためには、3つの原則がありこれら全てを満たした漁業である必要があります。
原則1:資源の持続可能性
原則2:漁業が生態系に与える影響
原則3:漁業の管理システム
具体的な内容はとしては、
①過剰な漁獲を行わずに資源を枯渇させない範囲で、
②漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力等を維持できる形で漁業を行うこと。
③その上でルールを尊重した管理システムをもっているといった条件になります。
「ASC」認証とは?
ASC認証とは、「Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)」の略です。
「養殖魚」の生産に焦点を当てたエコラベルで、下記の原則をクリアすることが条件です。
原則1:国および地域の法律および規制への準拠
原則2:自然生息地、地域の生物多様性および生態系の保全
原則3:野生個体群の多様性の維持
原則4:水資源および水質の保全
原則5:飼料およびその他の資源の責任ある利用
原則6:適切な魚病管理、抗生物質や化学物質の管理と責任ある使用
原則7:地域社会に対する責任と適切な労働環境
よく混同される「MSC認証」と「asc認証」ですが、
一番の違いは「天然か?」と「養殖か?」です。
〜「MSC認証」と「asc認証」の違い〜
・「MSC認証」:天然魚(漁業)
・「asc認証」:養殖魚
「MEL」認証とは?
MEL認証とは「Marine Eco-Label Japan (マリン・エコラベル・ジャパン)」の略です。
水産資源の持続的利用、環境や生態系の保全に配慮した管理を積極的に行っている漁業・養殖の生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証する水産エコラベルです。
つまり、
「MSC認証」と「asc認証」を合わせたような認証です。
水産エコラベルって取得する意味あるの?
ここまで、水産エコラベル「種類」や「役割」について解説してきました。
確かに、持続可能性のある漁業を続けるために役に立っている部分はあると思います。
ですが、私としては水産エコラベルの取り組みに疑問を感じる部分があります。
1つ目は「エコラベルの商品を作っている生産者」だけが持続可能な漁業をしても海洋資源の問題解決にはならないことです。問題解決に繋がっていなければ、「環境に優しいことをアピールして付加価値をつける生産者」と「環境にやさしい商品を買って満足感を感じる消費者」の双方の自己満足で終了です。水産資源を本当に守っていくのであれば、漁業法をさらに整備するなど根本的な解決策を国として推進していく必要があると感じています。
2つ目は「そもそも環境にやさしくない魚になんでそのラベルついてるの?」問題です。私達の好んで食べるおいしい水産物の多くは水産生物の生態系の上位にいる生物です。例えば、マグロを養殖して1kg体重を増やすのに餌としてサバやアジなどの魚を15kg近く給餌しないと育ちません。生態系の上位の水産物を作るには他の多く水産物が必要なのです。そのため、水産エコラベルのシールが貼ってあるマグロを見ると「全然環境にやさしくないのになぜこのシール貼ってあるの?」といった疑問しか感じません。。。
持続可能な水産資源の活用は非常に大切です!!
エコラベルを否定するわけではありませんが、それ以上にイシュー度の高い課題を解決できる取り組みを本気で考えて、早急に取り組んででいかなければ本当に水産物が枯渇してしまう時代に突入してます。。。