【料理の科学】土鍋で「お米」をおいしく炊く方法とは?

お米をおいしく炊くためのコツとは?

毎日食べているお米は日本独自に品種改良がされ、それぞれの農家さんが丹精込めて作ったお米をいただいています。お米の「種類」と「品種」については前回の記事にまとめてます。(お米の種類と品種について

私自身、今年初めて不耕起栽培のお米を田植えから収穫まで実際に体験することで、お米作りについて知る機会を持つことができました。そうして育てたお米は市販のお米とは比べものにならないくらい甘みが強く、歯ごたえもしっかりしており美味しいお米でした。

炊飯器で普通に炊いても美味しお米ですが、そこまでしたお米だとさらにおいしく炊いて食べたいとの欲求が出てきます。今回は土鍋で「お米を美味しく炊くコツ」を食品科学をもとにご紹介していきます。

お米をおいしく炊くコツは「火加減」

お米を美味しくための最大のコツは「火加減」です。昔の言い伝えで「はじめチョロチョロ中パッパ、ジワジワどきに火を止めて、赤子泣いても蓋とるな」といったものがあります。この言い伝えができたのはお米を炊くときの火加減を分かりやすく後世に伝えるためです。(昔の人の知恵はやはりスゴイ!)
今は炊飯器のボタン一つで火加減を自動でやってくれますが、おいしいお米を炊くにはこの言い伝えを忠実に再現できる土鍋での調理が一番です。

お米の炊飯過程における加温時間と水温について

お米の炊飯における工程は大きく4つの段階に分かれます。この4段階の工程を適切な「温度」「加温時間」を管理することでおいしいお米を炊くことができます。

~お米の炊飯工程~
①水浸漬期(吸水時間)
②温度上昇期
③沸騰継続期と蒸し煮期(土鍋の能力を最大限に発揮できる!)
④蒸らし期

炊飯時の「温度」「加温時間」の理想のグラフは下記のようになります。

①水浸漬期(吸水時間)

「水浸漬期」とはといだお米に水を吸わせる工程で、こうすることによってお米の中に水を浸透させて加温時にお米がα(アルファ)化しやすくなります。この工程は「常温」で行い、浸漬時間は30分~2時間が目安です。水温が高いと浸漬時間は短くなり、2時間以上つけておくとデンプンの成分が水に溶けだしてしまうため炊いたお米のべたつきが多くなるため注意が必要です。

②温度上昇期

「温度上昇期」とは加熱開始から沸騰するまでの工程です。つまり、「常温から100℃になるまで」温度を上げていきます。この時の加温時間は長すぎても短すぎてもいけません。「最適の時間は10分間」です。加温時間が長すぎるとコメの表面ので水を吸い込みすぎてべたついたお米になってしまいます。一方、加温時間が短すぎると水の吸い込みが悪く芯の残ったお米になってしまうため要注意です。

③沸騰継続期と蒸し煮期

「沸騰継続期」「蒸し煮期」はデンプンをα(アルファ)化させてやらかくするための工程です。この工程での温度は「100℃~98℃」の間で「20分間」保たなければ美味しいお米にはなりません。温度が低く、加温時間が短いとご飯はかたくなり、おいしくなくなってしまいます。
「土鍋」が美味しいお米を炊くのに最適な理由はこの工程にあります。「土鍋」は熱を蓄える能力が高く、他の鍋と比べて温めるのに時間がかかりますが冷めにくいといった特性があります。この特性を利用することで高温で20分維持することが可能なののです。

④蒸らし期

「蒸らし期」とは火を止めた時点で米粒の周りに残っている水を完全に吸収させるための工程です。きちんと蒸らすことでべたつかない美味しいお米になります。この工程では「約15分~20分間」「90℃以上の温度」で保つことが重要です。
また、③の「沸騰継続期」から「蒸らし期」にかけて高温の状態を保つことにより、高温に強い酵素が活発に活動してお米の甘みを引き出してくれます。

まとめ

お米を美味しく炊くコツを食品科学の知識を含めて解説してきました。しかし、ただ土鍋を用意して各工程の科学的なメカニズムを理解しただけでは美味しいお米は炊けません。本当に美味しいご飯の炊き方は「各家庭のコンロの火力の強さ」や、「土鍋の大きさ」、「その日の気温」によっても異なるため実際に試行錯誤を繰り返していくしかありません。
炊飯器に頼るだけでなく、たまには土鍋で自分流の炊き方でお米を炊くことをオススメします。

参考書籍:おいしさつくる熱の科学 佐藤 秀美 著

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