目次
「循環式水耕栽培システム」とは?
「循環式水耕栽培システム」作成の目的とは?
コロナウイルスによる外出自粛要請によって、
お家で過ごさなければならない状況が続いています。
ですが、いきなり「おうちで過ごそう!」と言われても、
普段は仕事ばっかりしていたビジネスマンの方たちは困ってしまいます。。
そんな中、今おうちでできる「水耕栽培」や「きのこ栽培」などが注目を集めています。
今回は自宅で自作できる水耕栽培の方法をご紹介いたします!
育てる作物は「大葉」と「バジル」です!
(私はちょうど去年の今頃の時期に始めたので時期的にもピッタリです。)
メデイアでは「水耕栽培」は暇つぶしの一つとして取り上げられていますが、
実際にやってみるとただの暇つぶしではなく、とてもいい勉強になります。
なんせ、水耕栽培の技術はは今後の食糧生産で期待されている「植物工場の核になる技術」だからです。
アフターコロナには再度食糧生産のビジネスが注目を集めるのは間違いありません。
その時に、植物工場ビジネスは投資するに値する案件であるのか把握する意味も含めて、
この機会に実際に自分でやってみることをオススメします!
「循環式水耕栽培システム」のコンセプトは?
今回の水耕栽培装置のコンセプトは下記の3つです!
①閉鎖循環式のシステム
水耕栽培の「溶液をきちんと循環させて供給するシステム」にします。
最初は水耕栽培用の溶液(ハイポニカ)を使用して植物のに特化した形で栽培します。
うまく行けば次の栽培は植物の栄養源はハイポニカではなく、
魚を飼育して魚の糞植物の栄養として利用する「アクアポニックス」での栽培にチャレンジしていきたい。
②自宅の室内(窓際)できるコンパクトサイズ
まずは、大規模な設計でなく「毎日自宅で観察できるサイズのパッケージ」で挑戦。
③オシャレなレイアウト
書店やネットでは「100均の道具だけで揃えた水耕栽培ができます」と言って作ったシステムが多いですが、どうしてもチープな感じのシステムになってしまいます。。
そのため、今回はできるだけコストは抑えながらも「オシャレにはこだわったレイアウト」にしたい!
「循環式水耕栽培システム」の作り方
自作水耕栽培セットの作成資材
循環式水耕栽培システムの資材リストは下記の通り。
・資材一覧
項目 | 個数 | 内容 |
水槽セット | 1 | 水槽サイズ: 幅31cm×奥行き29.3cm×高さ30.9cm 水量:13L 外掛けフィルター付き。 |
スポンジセット | 1 | 種を植える用。 |
タッパ | 1 | スポンジで発芽させるために使用。 (薄くて平たいもの) |
バジルの種 | 1 | 1袋購入 |
大葉の種 | 1 | 1袋購入 |
エルボ | 5 | 13φの配管資材 |
ソケット | 1 | 13φの配管資材 |
チーズ | 2 | 13φの配管資材 |
直管 | 1 | 13φの配管資材(1m) |
キャップ | 3 | 13φの配管資材 |
炭ボール | 2 | 水耕栽培用の土 |
ミニオリコン | 1 | ダイソーで買った小さなかご |
(↑写真:水耕栽培装置の材料)
水耕栽培セットの作成手順
循環式水耕栽培システムの作成手順は下記の通りです。
①配管資材の「切り出し」と「加工」
まず、塩ビ配管を切っていきます。
塩ビ配管は水槽の底部に設置することで「水耕栽培のかごを支える役割」と「底部から水を吸い上げる」といった2つの役割があります。
(↑写真:切り出した塩ビ配管)
縦と横の配管には水を吸い込むための穴を電動ドリルであけていきます。
(↑写真:ドリルで穴をあけた塩ビ配管)
②組み立て作業
「切り出した塩ビ配管」と「外付けの背面ポンプ」と「ミニオリコン(かご)」を組み立ててガラス水槽に取り付けていきます。
(↑写真:組み立てた塩ビ配管)
(↑写真:組み立てた水耕栽培水槽)
③「炭ボール」と「ハイポニカ」の投入。
炭ボールは水耕栽培で植物を育てる際の土の代わりになります。
炭ボールの他にもハイドロボールなどもあります。
炭ボールは一度洗ってから緑のミニオリコン(かご)に入れます。
(結果的には炭ボールは水の循環が悪くなるので入れない方が良いです)
(↑写真:炭ボール)
ハイポニカは水耕栽培で植物を育てる際に必要な栄養分です。
投入量はハイポニカが500倍希釈になるように投入します。
計算例:今回の水槽の水量は13Lであるため13L÷500=26mL
よって初回は26mL投入すればOKです。
(ハイポニカはA液、B液の種類ありますがそれぞれ26mLです。)
その後は、「EC(電気伝導度)」を基準目安としてハイポニカを足していきます。
野菜の種類や生育状況によって最適な値は異なりますが、一般的な目安としては1~2ms/cmで管理します。
(葉菜類は低めの1程度、果菜類は高めの2程度が良いです。)
~おすすめのEC測定器~
④水を入れて循環させて完成!!
まだ、種が発芽していないため水を循環させた完成した水槽は後日アップいたします。
(↑写真:現状の水槽)
循環式水耕栽培の育成記録
循環式水耕栽培の記録を下記にまとめていきます。
育成は現在進行中のため、育成状況に合わせて更新していきます。
種まき(1日目) 4月スタート
今回の水耕栽培では大葉とバジルの種まきをまいていきます。
種まきの工程は下記の通りです。
(↑写真:大葉とバジルの種)
①スポンジ加工
種を植えるためのスポンジを加工していきます。
スポンジをサイコロ状にカットして真ん中にタネを入れられるように切れ目を入れます。
(↑写真:「元のスポンジ」と「カットしたスポンジ」)
②スポンジにタネをまく!
加工したスポンジにタネをまいていきます。種は一つのスポンジに1粒づつ植えていきます。
今回は黄色のスポンジに大葉、青いスポンジにバジルを植えました。
(↑写真:大葉の種とスポンジ)
③平らなタッパに水を張ってスポンジを浸せる。
平らなタッパに水を入れて、種を植えたスポンジを水に浸します。
これを明るい場所にセットして発芽を待ちます!
どちらが先に芽をだすか!?楽しみです!!
(↑写真:発芽待機中の様子「左が大葉」、「右がバジル」)
発芽しました!(16日目)
育成16日目で大葉、バジル共に発芽しました。
しかし、スポンジの切れ込みが深すぎてせっかく出てきた2枚の葉っぱが開けなくなっていました!
そのため、すぐに芽が出ていたスポンジを浅くカットして葉っぱがキチンと外に出るように加工しました。
もう少し大きくなったら循環式の水槽に移動させます!
(↑写真:発芽したのに、溝が深くて埋もれてしまっているバジル)
(↑写真:スポンジの溝が深く、葉っぱが閉じたままになってしまっていた。。)
(↑写真:スポンジを浅くカットして葉っぱがきちんと出るように加工しました!)
発芽したスポンジにハイポニカ投入!(19日目)
発芽はしましたが、まだ循環式のシステムにいれるのははやい感じです。。
ですが、すでに芽が根を張ってきているためそろそろ養分が必要となってきます。
そのため、スポンジにハイポニカを投入しました。
やり方は簡単です。
①スポンジの入ったトレイの水を減らす。
②2Lのペットボトルに500倍希釈になるようにハイポニカを投入。
(ハイポニカはA液とB液の2種類があり、2Lに対して各2mLづつ投入。)
③ペットボトルで薄めたハイポニカの液肥をトレイに給水!
これでしばらく大葉とバジルの芽が大きく成長するのを待ってみます。
(↑写真:ハイポニカと2Lのペットボトル)
(↑写真:「ハイポニカを混ぜる様子」と「ハイポニカを混ぜた液肥を給水」)
循環式水耕栽培システム稼働開始!!(29日目)
大葉、バジル共に十分に発芽して4枚の葉が出てきました。
(種からの発芽率は約50%程度でした。採用するのは5~6個なので十分です。)
根も十分に出てきたため、ようやく循環式水耕栽培システムに移行する日がやってきました!
(↑写真:黄色スポンジが大葉で青スポンジがバジル)
まずは、循環式水耕栽培の植物用のかごに「炭ボール」を洗ってセットします。
(炭ボールは少し崩れやすかったのです。。。)
(↑写真:炭ボールの洗浄の様子)
そして、スポンジごと大葉とバジルの芽を移動していきます!
(↑写真:手に持ってるのはバジルの芽)
(↑写真:黄色が大葉で左にバジルをセット!)
そして、最後にスポンジが浮かないように上からも炭ボールを追加投入!
(↑写真:完成した植物の栽培ゾーン)
循環ポンプの所から水を10L給水して、ハイポニカを投入。
(ハイポニカは500倍希釈のため、A液B液ともに各20ml投入しました。)
(↑写真:ペットボトルで水を10L給水中)
そして、循環を開始した様子がこちら↓
うまく稼働開始しました!
これからの成長がどうなっていくのか楽しみです!
電気伝導度測定(30日目)
この日から10日以上長期出張により、循環を止めて管理することになりました。
(電源を入れておくと何かあると怖いため。。)
出発前に電気伝導度を測定しました。
測定値は3108μms/cmと少し高めでした。
(葉物は1ms/cm程度の電気伝導度ECが適正とのことでしたが。。)
そして、出張に出かけました。。。
(↑写真:測定した電気伝導度)
水耕栽培壊滅的被害(46日目)
出張から帰ってきた時の水耕栽培セットの様子はこちら↓
(↑写真:壊滅的な循環型水耕栽培水槽)
水が腐って、バジルの1つ以外ほぼ壊滅的な状態でした。
失敗の原因としては下記の理由が考えられます。
・水の循環を止めたことで水が腐った。
・培養溶液の濃度が濃すぎた。
・溶液の栄養と水温が高く、雑菌が繁殖した。
循環式の水槽は腐敗しましたが、循環式の水槽に移さずに適当に
水を給水してに管理していたスポンジの培地の方は元気に育っていました!!
(↑写真:元気に育っているスポンジ培地)
そのため、もう一度スポンジ培地で育った芽を植えかえて、リスタートをしました。
改良点は下記の通りです。
・炭ボールの撤去
(炭ボールは崩れやすく、水の循環も悪くなるため撤去。)
・培養液の濃度を薄める。
(ハイポニカの量は1/4に設定し、A液B液ともに各5ml投入。水槽の水量は約10L)
・水の循環は常に行う。
さて、これでうまく成長してくれるかチャレンジです!!
(↑写真:再セットした循環型水耕栽培装置)
順調に成長中(54日目)
再セットした後は順調に成長しています。
成功要因は循環を常に動かし、養分もEC(電気伝導度)を414μms/cmと薄くしたためと考えられます!
(バジルや大葉のような葉ものの野菜はハイポニカの入れ過ぎには要注意です!)
そして、やはり育成装置は炭ボールどの無駄なものは入れずにシンプルが一番なことが分かりました。
ここまで成長すると、こまめに収穫して料理でも使えるようになります!
育成結果としては収穫できるまで成長したため今回の実験結果は「成功」としてここまでで育成記録は終了いたします!
(↑写真:大きく成長した大葉とバジル)
まとめ
今回はDIYで循環式の水耕栽培セットを作成しました。
今回の装置では水耕栽培に焦点を合わせて葉もの野菜を育てることを目的としました。
いろいろな失敗もありましたが最終的にはすくすく成長し、収穫できるようにまで育成できました!
この記事が水耕栽培を自作してみたい方の参考になれば嬉しいです。
この水槽の進化形としては下のスペースで魚を飼育し、上のスペースで植物を飼育する「アクアポニックス」を行うことも可能だと考えています。(アクアポニックスとは「循環式養殖」と「水耕栽培」を融合した技術です。)
しかし、アクアポニックスはまだまだ課題が多いため、まずは「循環式養殖」と「水耕栽培」がそれぞれのシステムを確立することが大切です。
今後も研究を重ねて、将来はそれぞれのシステムを繋げた生態系を循環させるようなシステムを作りたいと考えています。